感染と定着 家庭の医学

解説
 感染症は、生体内に病原微生物が侵入しさまざまな臓器に定着して、人体のもつ抵抗力に打ち勝って増殖することでひき起こされる病気です。つまり、人体に定着・増殖して感染が成立したといえます。病原微生物は多様で、寄生虫、真菌、レプトスピラ、一般細菌、結核菌、クラミジア、およびリケッチアならびにウイルスに大別されます。
 これらの微生物が人体に侵入・定着・増殖することによって比較的短期間に症状が出現します。感染症は、病気として意識される急性感染症と、進行がゆるやかで発症までに数カ月を要する慢性感染症に大別されます。
 また、その人に定着している微生物がなんらかの原因で内部まで侵入し、病原性を発揮する内因性感染もあります。このほか、感染症の呼びかたに日和見(ひよりみ)感染症、市中感染症、院内感染症などがあります。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)