全遺伝情報(ゲノム)の一部を容易に改変できる「ゲノム編集」技術を、遺伝子治療などの臨床研究指針に含めるための専門委員会が12日、厚生労働省で初めて開かれた。現行指針では精子・卵子や胚(成長した受精卵)に遺伝子を入れて改変する臨床研究を禁じており、改正してゲノム編集を使う改変も禁止する見込み。
 海外では、がんやエイズを治療するため、免疫細胞にゲノム編集を使う研究が始まっている。初会合では、国立成育医療研究センター研究所長の松原洋一委員が「体細胞のゲノム編集治療が日本に入って来るのは時間の問題だ」と説明した。
 このため、専門委は遺伝子治療と同様に、大学病院などがゲノム編集治療の臨床研究を行う場合も厚労省に計画を提出し、安全性や有効性を審査するよう指針に盛り込むことを検討する。
 難病が子に遺伝することが確実な患者が、体外受精卵の原因遺伝子をゲノム編集で修正すれば、健康な子を授かる可能性がある。しかし、国内外で出産した例はなく、安全性が確立されていない。内閣府の生命倫理専門調査会は昨年4月に「容認できない」との中間報告書をまとめ、厚労省も指針で禁止することにした。
 松原委員や日本医師会常任理事の今村定臣委員らからは、小さな産科クリニックでも受精卵のゲノム編集が簡単にできてしまうため、指針改正にとどまらず、国の幅広い規制が必要との意見が相次いだ。 (C)時事通信社