近視のラットの目に、人の皮膚から採取したコラーゲンを生成する細胞(線維芽細胞)を移植して近視の進行抑制に成功したと、東京医科歯科大の研究チームが発表した。線維芽細胞は採取や培養、移植が容易で、自身の細胞を使えば拒否反応も起きないため、新たな治療技術につながると期待される。論文は12日、国際科学誌の電子版に掲載された。
 近視は眼球全体の前後方向の長さ(眼軸長)が次第に伸びていくことで発症、進行する。眼球の外壁に相当する「強膜」と呼ばれる組織は主にコラーゲンで構成され、眼軸長が伸びると強膜のコラーゲンや線維芽細胞が減少し、厚みも薄くなることが分かっている。
 東京医科歯科大の大野京子教授らは、人から採取した線維芽細胞を培養し、近視のラットの眼球に注射器で移植した。4週間後、眼軸長の伸び方や近視の程度を示す屈折度は、移植しなかったラットに比べ約40%抑制されていた。移植後の眼球を調べると、強膜外層に新たなコラーゲンが定着し、強膜を補強していた。
 近視が進んで眼軸長が伸び過ぎると、網膜剥離や緑内障など失明リスクの高い病気に至ることもあるという。大野教授は「安全性を確認し、数年以内に人への応用を目指したい。病的な近視の患者に移植することで、失明リスクを低下させたい」と話している。 (C)時事通信社