治療・予防

カルシウム・パラドックスに注意=不足が招く過多、心疾患の背景に

 厚生労働省の調査によると、国内の心疾患の患者数は約173万人、死者数は約20万人となり、日本人の死因の第2位を占める。葛城病院(大阪府岸和田市)の藤田拓男名誉院長は「カルシウム不足が引き起こす動脈硬化が背景にあります。カルシウムの摂取は心疾患の予防に非常に重要です」と話す。

 ◇血管の壁が石灰化

 体内のカルシウムは99%が骨と歯に含まれ、1%が血液や細胞内に存在している。血液中のカルシウムは、神経の情報伝達や筋肉の収縮など生命の維持に欠かせない重要な役割を担っているため、血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれている。
 「カルシウムが足りないと、副甲状腺からカルシウムの代謝の橋渡しをする副甲状腺ホルモンが分泌されます。このホルモンは骨の中のカルシウムを血液中に送り出して、血液中のカルシウム濃度を維持する働きがあります」と藤田名誉院長は説明する。
 ところが、カルシウム不足が慢性化すると副甲状腺ホルモンが常に分泌され、骨から過剰にカルシウムが送り出されることになる。余分なカルシウムは血管や脳、軟骨など、カルシウムがあっては困るところに入り込む。カルシウム不足が、逆にカルシウムの過剰を引き起こし、体内に蓄積されるこの現象を「カルシウム・パラドックス(逆説)」という。
 カルシウム・パラドックスにより増えたカルシウムが血管の壁にたまると、血管の壁は石灰化し硬くなる。これが、カルシウム不足によって起こる動脈硬化だ。心臓の冠動脈が石灰化することも多く、心筋梗塞や狭心症の引き金となる。

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