治療・予防

肋骨神経に起こる痛み =病気や手術も原因に

 背骨の中を通る脊髄神経から、左右12対の肋骨(ろっこつ)の真下を通る肋間(ろっかん)神経に起こる痛みやしびれの総称が「肋間神経痛」だ。さいたま市立病院整形外科の福岡昌利医長は「内臓の病気から起こることもあり、軽視できません。まずは原因を突き止めることです」と話す。

 ◇突然来る数秒間の痛み

 肋間神経痛は肋骨に沿って突然キューッと痛くなり、数秒で治まるのが一般的だ。中には継続した痛みのために知覚過敏となり、触れただけで痛いと訴える患者もいる。

 福岡医長は「特発性と続発性があり、前者は原因疾患が無い場合、後者は疾患で引き起こされる場合を指します」と説明する。大半が続発性で、肺や胃、肝臓や心臓の病気など原因は多岐にわたり、けがや肺がんなどの胸の手術がきっかけになることもある。特に多いのは帯状疱疹(ほうしん)で、ウイルスの炎症で強い痛みを引き起こす。

 妊婦にも肋間神経痛は多い。おなかの内側からの圧力で筋肉が伸ばされて痛みが生じるのではないかと考えられている。椎間板ヘルニアや背骨の病気もあるが、目立つのは中年以降に多い骨粗しょう症による圧迫骨折だという。治療後も骨の変形が残り、頑固な痛みが続くことがある。

 注意を要するのは、心臓の痛みを肋間神経痛と思い込んでいる場合だ。受診が遅れると命の危険もあり、内科的な疾患を見逃さないことが重要だと福岡医長は特に強調する。

 ◇定期的な運動で予防

 特発性の場合、近年は原因が長時間のパソコン使用などと考えられる痛みが増えている。福岡医長は「肋間神経は筋肉に挟まれているので、同じ姿勢を長く続けると凝りが生じて痛みが出てきます。できれば15分に一度は休憩し、ストレッチなどで筋肉をほぐしてください」と呼び掛ける。

 治療には湿布や痛み止めの薬が処方されるが、痛みが強い場合はブロック注射も行う。日頃からストレスを減らし、ウオーキングなどの定期的な運動をすることが予防にもつながるという。

 受診の目安として、動いたときに痛みが増す場合は整形外科、痛みが変わらずに持続する場合は内科を受診するとよい。「スムーズな診断のために、痛む場所や痛み方、どんなときに痛むかなどをよく把握しておくといいでしょう」と福岡医長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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