治療・予防

休日を楽しめない=脱力感や無気力に襲われる―週末うつ

 平日は仕事に精を出すが、休日は脱力感に襲われてやる気が起こらない。昼ごろ起きてジャージー姿でゴロゴロし、スマートフォンやインターネットを見ているうちに1日が終わる…。近年、そんな人が増えているという。杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)精神神経科の古賀良彦名誉教授は、そうした状態を「週末うつ」と命名する。

 ◇責任感強く真面目

 週末うつは30~40代の独身男性に多く、休日が楽しめず、早く月曜日になってほしいと思う。真面目で責任感が強く、人付き合いが苦手な人が陥りやすいと古賀名誉教授は分析する。

 「うつ病とは違いますが、表面的には変わりません。休日になると疎外感が募って生活のリズムが乱れ、体の不調が起こります。長引くとうつ病に進行するケースもあります」

 近年、若者の「○○離れ」が取り沙汰されるように趣味の少ない人が増えており、それも原因に挙げられる。

 平日は仕事に追われてそれなりに頑張れるが、会社の歯車のようなもので充実感とは程遠く、ストレスをためたまま週末を迎える。趣味などでストレスを解消できればいいが、それができないのが現実だ。

 拍車を掛けるのが、近年のスマホ依存やインターネットでの新しい人間関係などだ。睡眠前のスマートフォン使用は、ブルーライトの影響で睡眠の質を下げるだけではない。ツイッターやラインなどのインターネット交流サイト(SNS)による絆は、人付き合いの少ない人にとってもろ刃の剣で、逆にストレスになることもあるという。

 ◇平日の15分を大事に

 こうした週末うつと縁を切るために、古賀名誉教授はレスト(休養)、リラクセーション(癒やし)、レクリエーション(活性化)の「三つのR」を推奨する。規則正しい生活を送り十分な睡眠を取るほか、料理や楽器演奏、写真、あるいはアロマセラピーなど頭や手先を使う趣味を始めたり、資格を取ったりするなどの楽しみを見つけるのもよさそうだ。

 ただ、最初から休日にやろうと思っても、週末うつの人には難しい。そこで、まずは平日の15分から試してみるのがいい。わずかな時間でも趣味などに費やすことで、その時間が楽しくなるかもしれない。そうすれば今度は時間を増やしたくなり、休日にもやりたくなるはず。

 古賀名誉教授は「週末うつを吹き飛ばすには、実は平日を大事にすることがポイントなのです」と発想の転換を呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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