FEATURE レポート紹介

日本と世界の医学生をつなぐ架け橋として
=Exchange Office(SCOPE/SCORE)=

 Exchange Officeは、日本最大級の医療系学生団体IFMSA-Japanの常設委員会であるSCOPE(Standing Committee On Professional Exchange)とSCORE(Standing Committee On Research Exchange)が合同で活動する部門。世界中に広がるIFMSAのネットワークを利用して、医学生に最先端の基礎研究や最前線の臨床現場に参加する機会を提供している。

左から愛知医科大4年の小郷愛さん、
近畿大2年の宮岸麻衣さん、富山大4年の菅原里郁さん、
東京医科歯科大4年のスパクルさん、
獨協医科大3年の野島大輔さん、
藤田保健衛生大2年の一柳咲佑美さん

医学生の留学の窓口として

グローバル化が進む昨今、海外の病院や研究室で学びたいという意欲を持つ医学生は少なくない。そうした海外留学をサポートするのがExchange Officeの役割だ。
 菅原里郁さん(富山大4年)は「留学のエージェントは世の中にたくさんあると思います。ただ、医療に特化したエージェントはそう多くはありません。その点、Exchange Officeを利用すればIFMSAのネットワークを活用し、世界各国の病院や研究室から受け入れ先を探すことができます。それが最大のメリットではないでしょうか」と説明する。
 Exchange Officeを支える二つの組織のうち、臨床交換留学に関する委員会SCOPEは、4年生以上の医学生を対象に、海外の臨床現場を経験できる機会を与えている。一方、基礎研究交換留学に関する委員会SCOREは、留学先の大学の研究室で学ぶ機会を提供している。

打ち合わせの様子。
受け入れのために大使館と掛け合うこともある

視野を広げるのに最適な場所

Exchange Officeは、留学に関する医学生からの問い合わせに対応しつつ、大学や病院に対しては医学生の受け入れを打診・調整する。留学の窓口として裏方的な活動が中心だが、人を支える喜びを実感できるという。タイから日本に来ているスパクル・ソパックさん(東京医科歯科大4年)もその一人。日本に暮らし始めて4年目だが、日本語は驚くほど流ちょうだ。
 「大学卒業まで日本で生活することになっています。留学生の自分だからこそ、理解できることや力になれることがあると思いました。それで医学生の役に立ちたいと思い、Exchange Officeに入りました」
 もちろん、海外に強い興味を持つ日本の学生たちも参加している。
 野島大輔さん(獨協医科大3年)は「日本の医学部全体を見ると、学生生活は小さなコミュニティーで終わることが多いように感じます。さまざまな文化や価値観を持つ学生と触れ合いたいと思ったのでExchange Officeに参加しました。活動の中で英語を必要とする場面も少なくありませんし、ここはIFMSAの中でも最も海外を身近に感じられる場所ではないでしょうか」と話す。

海外の留学生を迎えてイベントも行っている。
日本の文化を海外に発信していくことも目標の一つ


留学生と一緒に記念撮影。お礼にみやげをもらうことも多い

誰かのために努力すること

日本の学生を送り出すだけでなく、海外から学生を受け入れるのもExchange Officeの重要な役割だ。菅原さんは「先進国で治安も良い日本は、留学先としても人気が高い」と話す。現在、IFMSA加盟国のうち交換留学プログラムに参加している100強の国々と連携を取り、Exchange Officeでは年間70人程度の留学生を日本国内の大学や病院につないでいる。
 課題は、日本にしても海外にしても医学生の受け入れ先が決まらないケースがあること。必ずしも本人が希望している大学や病院に行けるとは限らない。なかには入国審査すら厳しい国もある。
 「日々の課題や臨床実習などに追われ、医学生として過ごす6年間は暇ではありません。だから、留学を希望する学生は相応の覚悟を持って応募してきます。でも、期待に応えられない場合も、残念ながらあります。それを説明するときが一番つらいですね」(野島さん)
 菅原さんは「『どうして自分が選考から漏れたのか』と、電話で厳しい言葉を浴びることもある」と言う。Exchange Officeのメンバーも同じ医学生であり、学業が忙しいのは変わりない。それでも自分の時間を投資できるのは、誰かのために貢献したい、その気持ちがあるから。
 「大げさに言えば、留学は人生を左右するようなイベントです。それを一つでも多く実現させてあげるのが私たちの役目。これからもExchange Officeを通して、医学生の夢をサポートしていきたいですね」(菅原さん)