こちら診察室 介護の「今」
されどデイサービス 第57回
「デイサービス」とは、通所して入浴・食事・介護・医療的ケア・リハビリ・訓練・レクリエーションなどを受けるサービスだ。

昭和時代の教室。「回想法」などさまざまなプログラムを取り入れるデイサービスが増えている
◇さまざまな通所サービス
通所サービスには、高齢者分野以外にも、障害者向けに生活介護や自立訓練、就労支援を行うサービス、就学中の障害児を対象にした「放課後デイサービス」や発達障害児向けのサービス、医療を必要とする児童を対象とするサービス、精神疾患を持つ成人に向けた「精神科デイケア」など、さまざまな種類がある。ここでは高齢者向けの通所サービスに限って話をする。
◇介護保険のサービスいろいろ
介護保険で、最も一般的なのは「通所介護」(いわゆるデイサービス)だ。小規模なデイサービスは、「地域密着型通所介護」に分類される。リハビリ特化型や入浴特化型など、特色を出しているデイサービスもある。
「デイケア」と呼ばれる「通所リハビリテーション」もデイサービスと同様に通所型のサービスだ。
認知症の人向けには「認知症対応型通所介護」がある。医療的ケアが充実しているのは「療養通所介護」。「小規模多機能型居宅介護(小多機)」や「看護小規模多機能居宅介護(看多機)」にも通いの機能がある。
また、日中は介護保険のデイサービスを利用し、そのまま夜間も同じ所で宿泊(自費サービスだが安価)、次の日もデイサービスを利用する「お泊まりデイサービス」と呼ばれる利用形態もある。
なお、要支援者は、2015年4月から介護予防・日常生活支援事業(総合事業)の通所型サービスを利用することになった。この通所サービスには従来型の「通所型サービスB」のほか、住民ボランティアやNPOなどが行う「通所型サービスA」の類型がある。
何とも、さまざまな種類の通所型サービスがあり、利用者の規模は、合算すると、300万人弱の高齢者が利用する巨大サービスとなっている。
◇大人の尊厳を忘れる
デイサービスといえば、要介護状態になった人が家族介護者の休息(レスパイト)の目的や、「お風呂と昼ごはんのために行く」といったイメージが強かった。集団体操・折り紙・塗り絵、輪投げ、風船バレー、童謡の合唱など、保育園や幼稚園のようなプログラムを実施しているデイサービスもいまだにある。
ある家族介護者は、認知症の夫がデイサービスでどのように過ごしているのかを見学に行った時の苦い思いを話してくれた。夫は、認知症が発症するまで社長を務めていた。
「夫がお遊戯をさせられていたんです。涙が流れました。私は、思わず夫を連れて帰りました」
それ以降、夫はデイサービスには通っていない。
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(2025/06/24 05:00)