清水徹男 医師 (しみずてつお)

秋田大学医学部附属病院

秋田県秋田市広面字蓮沼44-2

  • 精神科
  • 科長 教授

精神科

専門

睡眠障害、不眠症

清水徹男

2007年から2013年に至るまで日本睡眠学会で理事長を務める、睡眠医学・医療のエキスパートである。睡眠障害のなかでも、とりわけ不眠症の診療・治療を専門として、長年にわたり患者と向き合ってきた。不眠が引き金となって起こるうつ病や、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病の治療についても詳しい。医学部精神科学講座科長としてのモットーは「若さ・対等・自由」。睡眠の「量」だけでなく「質」を加味し、その両面から現代人の睡眠環境改善の必要性を訴えている。

診療内容

「お父さん、眠れてる?」のセリフを覚えている人も多いだろう。これは2010年に内閣府が取り組んだ「睡眠キャンペーン」で使われたキャッチフレーズである。清水医師は当時、本キャンペーンに際して次のように語っている。「“お父さん、眠れてる?”の妙味は、家族の不眠への気づきを手がかりにして、眠れない中年男性をかかりつけの医師への受診につなげる点にあります」
清水医師は、中年男性に不眠のもたらす影響の一つに「うつ病」をあげる。典型的なうつ病の最も頻度の高い症状の一つが不眠であり、中年男性のうつ病では、食欲低下と同様に約9割の患者にみられる症状だからである。不眠と食欲低下、その他の体の不調がある中年男性の場合、身体の異常がない時にはうつ病が潜む可能性が極めて高いという。
うつ病特有の気分の落ち込みや、興味・関心の低下などは本人にも家族や周りの人にとっても気づきにくいが、不眠や食欲低下は気づきやすい。また、不眠はかかりつけ医に相談しやすい症状でもある。
中年男性では「たかが不眠」と、受診への抵抗感を抱く人が少なくない。そこで家族、とりわけ愛娘が父親の不眠に気づき、受診へと促すことは大きな効力を持つ訳だ。受診さえすればかかりつけ医が専門医と連携し、うつ病の発見・治療、ひいては自殺予防に結びつくという効果が発揮できるからである。うつ病の中でも、不眠が強いものほど自殺につながる危険性が高く、早期発見が要である。
清水医師は、睡眠障害はうつ病以外にも様々な問題を引き起こすと指摘する。健康な人であっても、睡眠不足に陥れば空腹感を高めるホルモンが増え、満腹感をもたらすホルモンが減ってしまうという。その結果、空腹感と食欲が亢進し、日常の睡眠時間が短い人には肥満が多く見られる。さらに糖尿病、高血圧などの生活習慣病になりやすいことも明らかになっている。また、睡眠不足は当然ながら精神面にも影響を及ぼす。集中力が低下するばかりではなく、良いことを忘れる一方、悪いことは覚えているなどネガテイブ思考に陥りやすくなるのである。
「眠れないくらいでは死ぬことはない、と言われることもありますが、それは睡眠を軽く受け止めすぎているのではないでしょうか。不眠が長く続けば心身両面の健康上、様々なリスクが高まるのです」と清水医師は語る。
現代病ともいえる不眠症「たかが睡眠」「眠れないくらいで」と侮らず、睡眠を犠牲にしないライフスタイルの大切さを強調する所以である。

医師プロフィール

1977年3月 大阪大学医学部卒業
1997年 秋田大学医学部精神科学教授、秋田大学大学院医学研究科医学専攻病態制御医学系精神科学講座教授