若槻明彦 医師 (わかつきあきひこ)

愛知医科大学病院

愛知県長久手市岩作雁又1-1

  • 産科・婦人科
  • 主任教授、部長

産科 産婦人科

専門

女性医学、周産期医学、腹腔鏡下手術、ホルモン療法(ピル、エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤、黄体ホルモン、Gn-RHアナログなど)

若槻明彦

女性医学の中でも、とくに女性のホルモン療法については1990年代から数多くの研究を行ってきた。多数の欧文著名論文を報告し、世界的にも注目されている。子宮筋腫や子宮内膜症のホルモン療法ではピルや黄体ホルモン、GnRHアナログ療法、閉経後のホルモン補充療法等も専門とする。
診療科の手術数は年間約1000症例。そのなかで腹腔鏡下手術は年間約450症例で、対象疾患は子宮筋腫、子宮内膜症が中心であるが、子宮体がんの腹腔鏡下手術や現在、先進医療として認められている子宮頸がんに対する腹腔鏡下広範子宮全摘術も行なっている。
診療科の手術数は年間約800症例以上。そのなかで腹腔鏡下手術は年間300症例以上で、対象疾患は子宮筋腫、子宮内膜症が中心であるが、子宮体がんの腹腔鏡下手術が先進医療として認められ、積極的に行っている。「今後はダビンチでのロボット手術を導入予定です」(若槻医師)

診療内容

子宮内膜症は若い女性の10人に1人で約200から300万人存在すると推定されています。主な症状は月経痛と子宮周囲の癒着による不妊です。子宮内膜症は炎症性疾患であり、エストロゲン依存症であるので、20~30歳代に発症すると、閉経まで数十年間炎症が持続する事になります。
クラミジアニューモニア肺炎や齲歯(うし)などの慢性炎症性疾患は将来の心血管疾患リスクであるため、子宮内膜症を慢性炎症性疾患と捉えれば、同様に将来の心血管疾患リスクになる可能性がある。実際にJapan Nurses’ Health Studyでの調査で子宮内膜症は閉経後、心血管疾患のリスクになる可能性が示されています。「このようなことから考えて、子宮内膜症を治療する場合、心血管疾患のリスクの観点からもアプローチする必要があるといえます」(若槻医師)
子宮筋腫も子宮内膜症と同様に、性成熟期女性のなかで頻度の高い疾患で、その症状は、月経過多やそれに伴う貧血があり、若年女性では不妊症や流産、早産の原因ともなっています。
子宮筋腫や子宮内膜症の薬物治療として、ホルモン療法があります。ピル、黄体ホルモン、GnRHアナログなどです。GnRHアナログは、エストロゲン濃度を著明に低下させるため、子宮内膜症の病巣や子宮筋腫のサイズも縮小します。「しかし我々が検討した結果によると、GnRHアナログの長期間使用には注意が必要です」(若槻医師)
GnRHアナログの長期使用によって、更年期障害や骨塩量低下のみならず、糖・脂質異常や血管内皮障害を惹起して心血管疾患のリスクがあるといいます。ピルには様々な種類があるが、含有する黄体ホルモンの種類によって、糖・脂質異常や血管内皮障害など、心血管疾患のリスクへの影響が異なることも若槻医師らの検討により明らかになっています。従ってホルモン療法を行う際には、月経痛や月経過多などの症状緩和の目的のみならず心血管疾患リスクの観点からも考慮する必要があるといえます。手術療法として、最近は開腹しない腹腔鏡下手術が主流になりつつあり、腹腔鏡下手術のメリットは開腹手術に比較して、傷が小さい、腹腔内の癒着が少ない、後の疼痛が少ない、早期退院・早期社会復帰が可能となる等が挙げられます。
同院では、総手術数は年間約1000症例。腹腔鏡下手術は約450症例で、そのほとんどは子宮筋腫と子宮内膜症です。一般的には腹部に3カ所の0.5~1.2cm程度の切開創で手術を行うが、同院では1カ所のみの切開で行う単孔式での腹腔鏡下手術も行っています。
子宮筋腫は、子宮温存の場合には腹腔鏡下筋腫核出術を、摘出の場合には腹腔鏡補助下膣式子宮全摘術を行います。子宮内膜症の場合でチョコレートのう胞のある場合には、腹腔鏡下のう胞摘出術と癒着剥離術などが中心となります。
同院では、良性疾患に限らず子宮体がん患者を対象に、子宮摘出とリンパ節郭清を行う腹腔鏡下子宮体がん根治手術をおこなっており、現在、先進医療として認められている子宮頸がんに対する腹腔鏡下広範子宮全摘術も行なっています。一般的に子宮体がんや頸がんの手術の場合、腹部切開創は恥骨上から臍上までに至るが、同院で行う手術では1.2cmが3カ所、0.5cmが1カ所の切開創のみであり、術後の疼痛は極めて少なく、開腹は非常に早いのが特長です。

医師プロフィール

1984年 愛知医科大学 卒業
1984年 高知医科大学医学部付属病院産婦人科研修医
1986年 高知医科大学医学部付属病院産婦人科助手
1989年~1991年 米国アーバインカリフォルニア大学リサーチフェロー
1995年 高知医科大学医学部付属病院周産母子センター講師
2001年 高知医科大学医学部付属病院周産母子センター助教授・副部長
2004年 高知大学医学部生体機能・感染制御学講座生殖・加齢病態学教室助教授
2005年 愛知医科大学産婦人科学教室主任教授
2011年 愛知医科大学病院副院長
2014年 愛知医科大学副学長

1999年:第4回ノバルテイスメノポーズアワード受賞
2001年:平成12年度高知信用金庫・高知安心友の会学術賞受賞
2003年:第18回日本更年期医学会 学会賞受賞
2007年:日本産婦人科学会best reviewer award 2006