古江増隆 医師 (ふるえますたか)

九州大学病院

福岡県福岡市東区馬出3-1-1

  • 皮膚科
  • 教授

皮膚科 アレルギー科

専門

皮膚科学、アレルギー、免疫学、ダイオキシンと健康障害

古江増隆

アトピー性皮膚炎の研究・治療におけるスペヤリスト。日本皮膚科学会のガイドラインの作成に携わり、2000年からは厚生労働省のアトピー性皮膚炎の治療法の普及や評価に関する研究班の班長を務めている。また、こうした研究活動によって得られた情報を、ホームページを通じて一般の人にもわかりやすく発信することで、有用な治療法の普及に努めている。アレルギー協会の世話人として、年間2~3回の市民公開講座も開催し、研究、臨床、教育、社会の幅広いフィールドで精力的に活動している。

診療内容

同院の皮膚科は 1906年に開設された。国内での有数の歴史ある診療科で、開業以来、九州一円、中国・四国地方の基幹病院として、質の高い医療サービスを提供している。古江医師が教授を務める皮膚科のモットーは、「患者さんごとに最適の医療を提供すること」。アトピー性皮膚炎をはじめ、炎症疾患や皮膚腫瘍、ヤケドや潰瘍からあざ、美容皮膚科まで、さまざまな分野の専門家が、一人ひとりの症状や病態に応じた的確な治療を実践している。アトピー性皮膚炎を専門に扱うアトピー外来では、炎症の沈静化、皮膚バリア機能の回復、痒みのコントロール、心理的サポートを治療の中心に据えている。アトピー性皮膚炎とは、皮膚に炎症が起きている状態。ステロイド薬や免疫抑制薬の外用で炎症を抑えることが大切で、炎症の重症度、面積、副作用の出方などを見ながら、適切な外用薬が処方される。強いかゆみに対しては、外用だけではなく必要に応じて抗アレルギー薬の内服などが処方されることもある。ステロイド外用薬を使うことに不安を抱いている人は少なくないが、適切に使えば副作用の心配はない。診療科では症状に合わせて最初に必要とされる十分な量を使い、ゆっくりと減らしていく。むしろ心配なのは、ステロイドを怖がるあまり使用を拒否したり抑えたりすることだ。炎症や強いかゆみが抑えられず、勉強や仕事に集中できない、眠れないといった弊害が起こるおそれがある。特に子どもの場合、不眠は成長に悪影響を与える。また、精神的な不安定やストレスから激しくかきむしってしまい、皮膚を傷つけたり、症状の悪化を招いたりして、悪循環に陥るケースがよく見られる。古江医師らはこうしたことを踏まえ、アトピー性皮膚炎の治療について、適切にすばやくかゆみを和らげることを優先している。また、アトピー性皮膚炎になると皮膚のバリア機能が低下する。水分が保持できずにカサカサとした乾燥した肌になり、異物が侵入する危険性も高くなる。このため診療科では、保湿薬を用いてバリア機能の向上をはかるとともに、スキンケア指導を行っている。さらに、生活習慣・環境などについても情報を収集し、症状を悪化させる要因をできる限り排除する。これらさまざまな治療方を組み合わせて、皮疹やかゆみのない状態の維持を目指す。
こうした治療は皮膚の炎症や乾燥を改善するためのいわゆる対症療法で、根本から治癒するものではない。アトピー性皮膚炎の治癒は、あくまでも患者自身の自然治癒力によって徐々に症状が治まるのが理想だ。しかし、現実的にはステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの薬物対処療法により症状を鎮め、良い状態を保ちながら、自然治癒を待つのが最良の方法と言える。アトピー性皮膚炎は、科学的な根拠に基づいて有効性が明らかな標準治療を行えば、症状のない快適な生活が可能になる。症状を上手くコントロールすることが、自然治癒力の向上につながるのだ。

医師プロフィール

1980年3月 東京大学医学部 卒業
1986年2月~1988年7月 米国National Insititutes of Healthに留学
1988年12月 東京大学皮膚科学講師
1992年2月 山梨医科大学皮膚科助教授
1995年5月 東京大学皮膚科助教授
1997年10月 九州大学皮膚科教授
2002年4月~2004年3月 九州大学病院 副院長兼任
2008年4月~九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター長 兼任
2011年1月1日~2014年12月31日 九州大学大学院医学研究院副研究院長
2012年10月1日~ 九州大学環境発達医学研究センター教授 兼務
2013年4月1日~2015年3月31日 九州大学病院臨床教育研修センター長
現在に至る

「アトピー性皮膚炎」を専門とする医師