亀山茂樹 医師 (かめやましげき)

国立病院機構 西新潟中央病院

新潟県新潟市西区真砂1-14-1

  • 機能脳神経外科
  • 視床下部過誤腫センター長

脳神経外科 外科

専門

てんかん外科、機能脳神経外科、視床下部過誤腫への定位温熱凝固術

亀山茂樹

てんかん診療の指針として神経学会が監修した「てんかん治療ガイドライン」(2010年発表)では、委員会委員に加わり作成に携わった。日本てんかん学会理事、教育委員会委員長、第45回日本てんかん学会(2011年、新潟)会長。視床下部過誤腫に対する専門性の高い手術「定位温熱凝固術」を開発したことで知られている。日本全国はもちろん海外からも、同疾患に悩み手術を求めて来日する患者が後をたたない。世界標準をめざした新しい治療法に取り組むとともに、大学臨床教授として次世代の脳神経外科医育成にも力を注いでいる。

診療内容

視床下部過誤腫は20万人に1人という難病。非常にまれな先天性の脳の異常で、最近ではてんかん性の「笑い発作」の原因として注目される。笑い発作は通常2歳頃から現われ、中には生まれた時から笑っている子どもも見られるという。毎日の発作以外にも知的な遅れや多動、暴力的などの行動異常をきたす場合もあり、てんかん発作によって脳の働きが障害されたためのてんかん性脳障害とされる。楽しさや感情を伴わない病的な笑いに近いことも特徴である。
笑い発作には薬物治療が無効である。これまで様々な手術法が試みられたが、頭蓋内の最も深い部位にあるために後遺症が出やすく、脳神経外科手術の中でも難易度の高い手術とされてきた。後遺症ゼロ、発作消失率100%をめざし、亀山医師が1997年に新しく開発した手術が「定位温熱凝固術」である。これは安全性・発作消失率が高い手術で、新しいてんかんの外科治療として注目されている。手術によって視床下部過誤腫を切除するのではなく、正常部分との境目に直径2mmの電極の針を当てて焼くことで発作が出なくなるものだという。この難病を後遺症なく高確率で治癒させる病院は世界的に例がなく、海外からも患者が訪れている。ブラジルやブルガリアから来日した視床下部過誤腫の患者が同手術を受けた際は、患者本人に加え、主治医の小児科医や脳神経外科医も手術見学のために来日したほどだ。
「定位温熱凝固術は私たちが10年以上かけて完成させた、日本独自“メイドイン新潟”の手術法です。これにより過誤腫内でてんかんが発生しなくなりますし、残ったところから発生しても視床下部へ伝わらないようにできるので、笑い発作は手術の直後からなくなり、行動異常も次第に見られなくなります」(亀山医師)
この手術は過誤腫の大きさや形にかかわらず適応でき、直径80 mm の大きさでも手術を行うとしている。術後に高熱や過食などの症状が出ることがあるが、これは一時的なもので、その後も続く後遺症が残った例はこれまで見られないという。
同院は、国内としては2番目となる「てんかんセンター」を併設している(1995年)。てんかん外科治療が可能な高次てんかんセンターであり、特徴はてんかんの鑑別診断から術前評価、外科治療、リハビリまでてんかん全般をカバーする点だ。さらにてんかんセンター・機能脳神経外科の中に、国内唯一の「視床下部過誤腫センター」を開設(2008年)。国内外の視床下部過誤腫の外科治療を一手に引き受け、これまで87(2013年3月末まで)を超える手術を行ってきた。これは世界トップクラスを誇る実績である。
「これまで良い治療が受けられなかった患者や家族に正しい情報と高度の治療を提供することがこのセンターの設立の目的です。現在のところ定位温熱凝固術における合併症はゼロ、発作消失率も約80%で、安全性と有効率が明らかに高いと言えます。この手術によっててんかん発作がなくなれば、小児の知的発達の障害や行動異常といった脳障害の改善も期待できます。過誤腫の診断がつけば、できる限り早期にこの手術をお受けになることを勧めます」(亀山医師)
わらにすがる思いで海外から来日する患者や家族の気持ちを思えばこそ、この手術が世界標準として海外でも普及することを期待したい。

医師プロフィール

1973年3月 新潟大学医学部卒業、新潟大学脳研究所、新潟大学医学部附属病院、長野赤十字病院、長岡赤十字病院、米・アイオワ大学を経て
1995年 西新潟中央病院、国立病院機構西新潟中央病院 副院長を経て
2008年 国立病院機構西新潟中央病院 院長(新潟大学医学部臨床教授も兼務)

「てんかん」を専門とする医師