暁清文 医師 (ぎょうきよふみ)

鷹の子病院

愛媛県松山市鷹子町525-1

  • 耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科 頭頸部外科

専門

聴覚、中耳炎、顔面神経麻痺

暁清文

暁清文医師は、原因不明とされる突発性難聴の発症メカニズムについて、内耳循環障害、特に内耳の虚血が関与するとの考えに基づき、基礎的、臨床的研究を実践。研究成果を活用して、作用の異なるさまざまな治療候補薬・治療法の開発に取り組んでいる。EBM(根拠に基づく医療)が未確立な難聴治療において、この分野の研究動向には大きな期待が寄せられている。また、顔面神経麻痺の診断・治療や難聴補助機器(人工中耳)の開発、頭頸部腫瘍の治療にも携わるなど、幅広い活動を通して医学の進歩に貢献している。

診療内容

「突発性難聴」は“特定の要因がなく、ある日、突然に発症する病気”といわれ、国内では年間およそ3万5千人が罹患する。40~60歳代に多く見られ、突然、聴力が悪化するため会話を介してのコミュニケ-ションが妨げられ、QOL(生活の質)が低下、社会生活に支障をきたす。原因については、循環障害やウイルス感染、ストレスなど、さまざまな学説があるが、特定するには至っておらず、今なお原因不明のままだ。
暁医師は“特定の要因なく、ある日、突然に発症する”という突発性難聴の特徴から、発症には循環障害、とりわけ内耳の虚血が原因と考え、画像診断、虚血関連マ-カ-、遺伝子多型などの研究手法を用いた研究を行っている。臨床医として「基礎研究の成果を臨床現場に役立てる」というスタンスで、10年余にわたり研究に取り組んできた。最近では、虚血以外にも外傷、音響障害、薬物中毒、感染、自己免疫など様々なストレス要因が絡み合い、蝸牛維持機能の破綻された状態が突発性難聴の原因であるとの説も提唱されている(細胞ストレス説)。本症には様々な発症要因が考えられ真因の特定は難しい。こうした特性ゆえに、本症の難聴治療には非特異的療法(安静療法、内耳低温療法、ステロイド投与など)が有効と考えられている。現在のところ突発性難聴の治療「EBM(根拠に基づく医療)」は確立されておらず、経験的にステロイドを中心に幾つかの薬剤を併用する治療が行われている。急性期には安静が重視される。ストレスが関与している症例が多く、心身ともに安静にすることは極めて重要と考えられるからだ。安静にしているだけで、内耳循環障害はある程度改善するので、できれば入院治療が望ましい。また突然に、めまいや難聴、耳鳴りなどが起こる「外リンパ瘻(ろう)」など、突発性難聴と見分けるのが困難なケースもあるので、安静は極めて重要といえる。特に、高齢者では聴力予後が不良のケースが多く、早期の入院治療が薦められる。薬剤の選択は、発症時の状況や臨床所見、既往歴などを総合的に判断して決められる。ステロイド剤の点滴、内服を中心に、血管拡張剤、血栓溶解剤のほか、脳循環改善剤、代謝賦活剤、向神経ビタミン製剤などが併用される。ただし、血管拡張剤は急激な血圧低下、血栓溶解剤は脳塞栓や動脈瘤の出血などを起こす可能性があるので、慎重に投与される。その他、交感神経の緊張を和らげ脳循環改善剤、血管拡張効果が望める星状神経節ブロックや95%酸素+5%二酸化炭素混合ガス吸入、血液中酸素濃度を上昇させる高気圧酸素療法なども試みられ、かなりの効果が得られている。一方、ウイルス説に基づきガンマグロブリン製剤やインターフェロン、アシクロビルなどの抗ウイルス剤も用いた報告もあるが、効果があまり期待できない上、健康保険の適用がないことや副作用が予想されることから耳鼻咽喉科・頭頸部外科では使用されていない。
内耳、聴神経、中枢神経などの障害によって起こる「感音難聴」の中でも、突発性難聴は完治する可能性が期待できる数少ない疾患だ。しかし、発症早期に治療を開始しないと予後不良といわれており、暁医師は臨床場面で早期発見、早期治療に努めている。高齢者は若年者に比べて予後が悪いので、できるだけ早期に診断し治療を開始する。ストレスの観点からの病態解明や再生医療技術を用いた難聴治療、有効な新薬開発など、これからも様々なアプローチで難聴研究の進展に貢献したいという暁医師の取り組みに期待したい。

医師プロフィール

1973年3月 京都大学医学部 卒業
1973年12月 京都大学医学部付属病院
1974年12月 福井赤十字病院
1976年1月 松山赤十字病院
1976年4月 愛媛大学医学部
1979年6月 愛媛大学医学部附属病院講師
1992年12月 愛媛大学医学部助教授
1997年11月 愛媛大学医学部教授
2014年3月 愛媛大学 定年退職
2014年4月 鷹ノ子病院