吉田憲司 歯科医師 (よしだけんじ)

愛知学院大学歯学部附属病院

愛知県名古屋市千種区末盛通2-11

  • 口腔外科 顎変形診療科
  • 部長(特殊診療科)

歯科口腔外科 歯科

専門

顎変形症、レーザーの基礎と臨床、口唇口蓋裂、口腔腫瘍

吉田憲司

吉田憲司歯科医師は、日本の顎変形症治療におけるオピニオンリーダー。口腔外科、矯正科、麻酔科、補綴科、放射線科からなるチームを率いて、患者への心理学的な配慮と手厚い、コミュニケーション重視の治療を行っている。『生体吸収性骨接合材料の顎変形症手術への応用』等研究活動にも従事している。顎変形症手術の成功は、患者の身体的(形態・機能)、社会的、精神的条件の相互作用により成功するという。低侵襲で適応範囲が広い、歯科レーザー治療の普及に取り組む日本レーザー歯学会の元理事長でもある。また2016年には世界レーザー歯学連盟(WFLD)の国際会議を主催、2016-2018年の理事長である。

診療内容

顔が左右非対称で、あごが曲がっている。上あごが奥にへこみ、下あごが前に突出しているため横顔が三日月型。受け口の程度が大きく、目立つ。出っ歯の程度が極端に大きい。口が常に半開きで、後ろの奥歯しか咬んでいない など…こうした特徴的な顔貌で悩んでいる人は、決して少なくないだろう。
しかし、それが顎変形症という病気で、健康保険で治療できるということは、案外知られていない。加えて、外見的な事柄だけが問題ではないのに、美容整形外科で見た目だけを補正して噛み合わせがメチャクチャになり、健康を害している例は枚挙にいとまがないと聞く。なんとも残念な話だ。
顎変形症は、口腔外科と矯正歯科を併用して治療する病気である。
顎の骨の手術を併用して、噛みあわせと同時に顔の骨格のバランスも整える治療をおこなうことで、見かけのみならず、健康的に噛める口を手に入れられる。ただし、そこには「顔」という、人生にとって極めて重大な部位にメスを入れる医療ならではの、忘れてはならないことがあるようだ。
顎変形症治療の第一人者、吉田歯科医師は、それを「限界」と呼んでいる。「『限界』という意味を広くとらえると、骨切骨片、骨体の移動(手術でどの程度まで、骨のズレを矯正できるかということ)以外にもさまざまな局面で限界と言うものが存在する」と。風邪や盲腸のような病気を治すのとはわけが違う。患者は、精神的にも機能的にも満足しない限りは、「ちゃんと治してもらった」とは思わないからだ。
そこで吉田歯科医師は「治療には、各連各科のチームアプローチによる総合的な治療体系が要求され、技術的側面のみではなく、患者に対する心理学的な配慮を必要とされること、さらに咬合改善に伴う顎・口腔機能にも注意が払われなければならない」と説く。
患者への心理学的な配慮は、
◎咬合・咀嚼など機能異常を祖として訴える患者のなかにも、背景には顔貌の改善を期待していることも多く、このような患者を熟知しておくべき
◎自らの顔貌に極度に神経質になっており、精神面でのカウンセリングが十分奏功せず、術後
の患者の満足度が予想困難な場合、外科的矯正治療は禁忌または要注意
◎初診時の対話では、訴えをよく聞きながら、患者の顔貌や咬合異常などの特徴を示し、過去の手術症例写真をみせ、術後の顔貌の変化や咬合改善について概ね知らせる。また手術の負担についてのあらましを話すにとどめ、患者自身に考える時間を与えるようにする
◎術前矯正治療期間には、口腔外科へも3~4カ月に一回は来院していただき、術前矯正の進行を確認、患者とのコミュニケーションを維持するよう努めている。
◎術後管理については、患者、術者、矯正歯科医とよく話し合い、内容について共有することが重要
等々、実に具体的でキメ細かい。
どんなに技術が優れていても出来ることには限界があり、そうである以上、患者に提供できる満足度にも限界がある。さらに、医師として、患者の想いや意図をどこまで汲み取れるかにも限界がある。…と考えているからだろう。
「顎変形症手術の成功は、患者の身体的(形態・機能)、社会的、精神的条件の相互作用により成功する」
限界を知っているからこそ、少しでも「成功」に近づけるよう全力を尽くしているのだ。

医師プロフィール

1981年 愛知学院大学歯学部歯学科  卒業
1985年 愛知学院大学歯学部 助手
1988年 愛知学院大学歯学部 講師 歯学博士
1991年8月~1992年7月 スイス Basel大学医学部 Abteilung Kiefer-, Plastishe und Wiederherstellende Chirurgie 留学
1996年 愛知学院大学歯学部 助教授
2001年 愛知学院大学歯学部 教授(口腔外科学)
現在に至る