漆原直人 医師 (うるしはらなおと)

静岡県立病院機構 静岡県立こども病院

静岡県静岡市葵区漆山860

  • 小児外科
  • 科長

小児外科 外科 がん

専門

小児外科、小児悪性腫瘍、内視鏡外科

漆原直人

漆原直人医師は「子どもが好きで小児外科になった」という。子どもたちと友達のように接し、手術においては、可能な限りダメージの少ない施術を目指している。多くの手術を経験している小児外科医の一人で、特に先天性胆道拡張症など小児の肝胆膵疾患や内視鏡手術を専門とし、全国に先駆けて先天性胆道拡張症や食道閉鎖にも内視鏡手術を行っている。2012年6月には「H型先天性気管食道瘻(ろう)」の手術に傷が小さく後遺症も少ない内視鏡手術を適用して、全国でも初めて成功させている。

診療内容

漆原医師が診療科長を務める小児外科では、8人の医師が常勤して、消化器外科、固形良性悪性腫瘍、呼吸器外科、腎移植、内視鏡手術から外科一般まで、幅広い領域をカバーしている。
内視鏡手術…子どもと家族のQOL(生活の質)の向上を目指し、全国に先がけて、鼠径ヘルニアに腹腔鏡下根治術(LPEC法)の日帰り手術を行い、毎年200例以上の手術を手がけている。患者は手術当日の朝に来院し、腹腔鏡下による20~30分の手術を受け、術後は日帰りユニットで3~4時間過ごした後、回復を確認して退院となる。抜糸の必要はなく、1週間後に外来受診して、問題がなければ治療終了になる。傷もほとんど目立たなくなる。
胃食道逆流に対する噴門形成、ヒルシュスプルング病、急性虫垂炎、脾摘などは、腹腔鏡手術が標準。スタッフの技術の向上とともに適応範囲がさらに広がり、先天性胆道拡張症、食道閉鎖などに対して内視鏡手術を導入するなど、難易度の高い手術に対しても、子どもへの負担が少ない内視鏡手術の適応が優先されている。
小児がんの治療…静岡県の小児がんの中心施設で、これまで非常に多くの小児悪性腫瘍の治療を行い、良好な治療成績を上げている。悪性腫瘍の治療では、隔週で腫瘍カンファレンスを開催して、血液腫瘍科、臨床病理科、放射線科と連携。豊富な経験をいかして、それぞれの子どもに最もよい治療法を検討した上で、手術、化学療法、放射線療法が適用される。
重症児の治療…国内ではまだ数の少ない小児のICU(PICU)があり、24時間体制で小児集中治療医が勤務している。術前の状態が悪い患者や術後の急性期の管理は、 PICUあるいはNICUで行い,関係各科連携し小児にとって安全でベストの体制で手術が行われるようになっている。人工肺(ECMO)、除水装置(膜型人工腎臓)が備えられ、NO治療をいつでも開始することができるのが強みだ。また、病院にはヘリポートがあり24時間体制でより重症患児の受け入れを行っている。こうした取り組みにより、救命率が低い疾患として知られている先天性横隔膜ヘルニアの治療でも、重症度の高い子どもが救命されるなど、良好な治療成績を上げている。
障害児の嚥下障害の治療…重症心身障害児の嚥下障害に対して、これまでは経鼻胃管やEDチューブを用い、これらで改善しない場合は胃瘻・腸瘻さらには噴門形成術が行われてきた。しかし、こうした方法では嚥下機能そのものの改善が期待できず、QOLの低下を招くことから、適応があれば誤嚥防止手術である喉頭気管分離手術を施行している。また術後の重篤な合併症である腕頭動脈からの出血を予防する目的で、皮弁を作成した喉頭気管分離術が行われている。噴門形成、胃瘻のほぼ全例が腹腔鏡手術で行われている。

医師プロフィール

1983年4月 岡山大学 卒業
1986年4月 香川大学小児外科助手
1988年7月 静岡県立こども病院小児外科
1992年1月 香川大学小児外科助手
1994年6月 岩国医療センター小児外科医長
1997年8月 岡山大学消化器外科助手
2001年4月 静岡県立こども病院小児外科医長
2003年4月 静岡県立こども病院小児外科科長