上原徹 医師 (うえはらとおる)

国立のぞみの園診療所

群馬県高崎市寺尾町2120-2

心療内科 内科

専門

摂食障害

上原徹

上原徹医師は摂食障害を専門とし、主に心と体がアンバランスになりやすい思春期の患者を支援している。発達障害やトラウマの関与を含む、摂食障害の多様な背景に造詣が深い。外来では、複雑な病態を的確に鑑別し、患者に適した治療法を柔軟に選択。認知行動療法を中心に、心理教育やSSRI・漢方などを用いた薬物療法に力を入れる。また、家族への支援も積極的に行っている。光トポグラフィーを用いた摂食障害の脳機能研究に携わり、動機づけ心理教育のツールなどへの臨床応用を目指している。

重度知的障害総合施設国立のぞみの園で上原医師は、現在新患患者の受付は行っていない。

診療内容

群馬大学健康支援総合センター勤務時代に、群馬大学の学生の健康診断や健康相談、精神的なサポートを行っている。イーティング・クリニックを設け、食事や体型のことで悩んでいる学生に専門医として相談にのり、医療機関につなげたり、継続的なカウンセリングを行っていた。
上原医師が専門とする摂食障害は、10~20代の女性に多い食行動異常を主とする病気。やせ願望、肥満恐怖に加え、拒食・過食・嘔吐などの行動障害、体型・体重への病的なとらわれが主な特徴だ。食物へのとらわれや盗食、ため込み、他者への強要、リストカットや過量服薬などを伴うことも多い。日本では1,000~2,000人に1人程度の有病率といわれ、近年患者の増加や若年化が指摘されている。回復率は約50%で、およそ半数は慢性化・再発する治療が難しい病気だ。うつや強迫、薬物依存、人格障害の合併も多く、致死率は約10%に上る。
摂食障害は、大きく神経性無食欲症と神経性大食症に分けられるが、どちらにも当てはまらない例や双方にまたがる例もある。拒食タイプの典型例では、標準体重から-15%以上の体重減少、肥満恐怖とやせ願望、身体イメージの障害、女性であれば無月経が特徴だ。過食タイプでは、食物への欲求が抑えきれず、過食に苦しみ、体重増加を防ぐための意図的な嘔吐や下剤乱用、絶食、過剰な運動などを繰り返す。また、典型例とは異なるものの、広汎性発達障害に由来する特性から対人関係や社会生活に支障をきたし、摂食障害に至ることもある。さらに、摂食障害の背後にトラウマがある場合は、抑うつや衝動行為をはじめ、極度の食行動異常、解離、過覚醒、再体験、疎隔感、依存症など複雑な病態を呈する。
治療は外来通院を前提とし、治療関係を十分に構築した上で、認知行動療法を中心に付加的な薬物療法を検討する。精神療法では、食事や栄養、体型に関する認知的な偏りを修正し、具体的な対処策を相談する。薬物療法としては、抗うつ薬(主にSSRI)や漢方を処方。急性期治療ではむちゃ食い排出症状の改善が期待されるが、短期間でのドロップアウト率も高い。うつ病・不安障害などの併存には、病態に応じて他の向精神薬を用いることもある。なお身体的管理や精神行動上の安全を優先すべき危険な状況の場合、精神科救急病院や近隣の一般病院などへ紹介せざるをえない。また、病識に乏しい初期や回復動機が低下した慢性期に、患者自身が受診を拒む際、家族を支援することで、患者の受療や病状改善につながる場合がある。上原医師は、患者の回復にむけた環境整備には、治療パートナーである家族への援助がとても有効であると考えており、家族に対して摂食障害の基本的情報を病態や病期に応じてわかりやすく解説。距離の取り方、自傷や過量服薬など衝動性への対処の仕方、心身の緊急リスクを見極めるポイント、心理的サポートや社会福祉資源の情報などを提供している(心理教育)。
研究面では、新しい脳とこころの検査として、光トポグラフィーを用いた摂食障害の脳機能画像研究を行なっている。光トポグラフィーは、脳皮質血液量変化を非侵襲的に測定する脳機能画像検査法。摂食障害患者では、症状の重症度、病状の回復や増悪により、脳血液量のパターンが変化する可能性がある。自然な状態で繰り返し行えることから、わかりやすい医学情報として、動機づけ心理教育のツール、行動特性の予測、心理的アプローチや身体管理の効果評価としての臨床応用が期待されている。

医師プロフィール

1996年 医学博士(新潟大学)
2002年10月 - 2003年10月 シドニー大学 客員教授
2013年4月1日 高崎健康福祉大学大学院保健福祉学専攻科へ赴任