田口智章 医師 (たぐちともあき)

九州大学病院

福岡県福岡市東区馬出3-1-1

  • 小児外科・小腸移植外科
  • 教授、科長

小児外科 産科 産婦人科

専門

小児外科(特に新生児外科、小児消化器外科、小児臓器移植、小児がんの外科治療など)

田口智章

厚生労働科学研究事業「小児期からの消化器系希少難治性疾患群の包括的調査研究とシームレスなガイドライン作成」研究班長。腋窩皺切開による先天性食道閉鎖手術や肺葉切除、臍部皺切開による腸閉鎖手術や肥厚性幽門切開手術など傷の目立たない新生児手術を全国に先がけ実施・普及させる。小児消化管疾患の病理学的研究を精力的に行う傍ら、小児外科・周産母子センターの市民公開講座企画・運営・講師・司会、身体障害者福祉法の小腸機能傷害および膀胱又は直腸機能障害の指定医師として活動。日本小児外科学会理事長。

診療内容

小児外科・小腸移植外科教授として小児の手術を必要とする病気を広く扱い、臓器移植(肝移植・小腸移植)・腫瘍の集学的治療・新生児外科治療・低侵襲外科手術などを日々行い、さらに各科が診療科の垣根を越えて小児への集学的医療を提供する小児医療センターでの診療、そのセンター長を2年ごと(交替制)に務める田口医師。
造血幹細胞移植・樹状細胞を用いたがん免疫療法・心臓カテーテル治療・子どものこころと発達診療・脳機能検査・小児臓器移植(肝・小腸)・小児の低侵襲手術(腹腔鏡・胸腔鏡手術)・小児固形がんに対する集学的治療・短腸症候群や腸管ぜん動不全の治療など、専門性の高い医学・医療を提供し、ハイリスク妊娠・分娩で不安をもつ患者たちにとって絶対的な信頼を寄せられている存在だ。
田口医師は小児外科手術に関して、従来の皺を利用した腋窩皺切開による先天性食道閉鎖手術や肺葉切除、さらに臍部皺切開による腸閉鎖手術や肥厚性幽門切開の手術など傷の目立たない新生児手術を、全国に先がけて実施し普及させてきた実績をもつ。
現在も乳幼児以上に対して腹腔鏡や胸腔鏡手術を積極的に導入しており、小児の虫垂炎や女児の鼡径ヘルニアは全例鏡視下手術となっている。虫垂炎で膿瘍や腫瘤形成した状態でも、抗生剤で炎症をコントロールし3ヵ月後には腹腔鏡で摘出してしまうという。
田口医師は、さらに信頼感を強くさせる言葉が続く「小児の肝臓移植は親からの生体肝臓移植が主体ですが、これまで70例施行して生存率は93%。これは、全国でも有数の高い生存率です。対象は胆道閉鎖症が大部分ですが代謝異常、急性肝不全、肝芽腫などにも良好な成績が得られています。小児がんは発見時には巨大で切除できない症例が多いのですが、術前に化学療法を行うことにより、腫瘍の縮小を図ったうえで全摘出。これにより、治癒率が大きく上がります。肝芽腫では肝臓に限局する状態にもっていくことができれば、肝切除が困難でも肝臓移植により腫瘍全摘出が可能に。術前化学療法と適切なタイミングでの手術療法、さらに放射線療法を組み合わせることにより、治癒率の向上が見られています」
こうした実績の裏には、日頃の研究への精力的な取り組みがある。
そして「新生児外科疾患のうち胎児治療が必要な症例の選択とその適応に関し、肺嚢胞性疾患のCCAMについて臨床分類を提唱し、胎児治療の適応を明確にした」「胎児リンパ管腫の胎児治療の可能性について症例を重ねて検討」「横隔膜ヘルニアで高度肺低形成の症例には胎児麻酔の有効性を周産母子センター、麻酔科とともに検討。2004年以後はgentle ventilationによる呼吸管理法の導入により、94%という生存率を達成」など、研究成果も目を見張るものばかりだ。
そんな田口医師のモットーは「子どもを安心して任せられる外科医であること」。病気が治った後はできる限る普通の生活に戻れるよう、考慮した治療を選択するよう心がけているという。また、対象年齢は主に胎児(出生前診断例)から18歳までだが、小児外科特有の病気はキャリーオーバーとなるケースが多く、その場合は大人になっても診療を継続するそう。親としてはもちろん、成人した患者にとっても心強いことこの上ない。

医師プロフィール

1979年 九州大学医学部 卒業
1985年 九州大学大学院医学研究科(外科・病理)修了・医博
1987年 九州大学医学部文部教官助手(小児外科)
1987年 カナダマックギル大学・モントリオール小児病院留学
1992年 パキスタンイスラマバード小児病院小児外科指導
1997年 ピッツバーグ大学・小児病院留学
1998年 九州大学医学部附属病院周産母子センター助教授
2006年 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野教授
2006-8年, 10-12年 九州大学病院小児医療センター長
2007-9年 九州大学病院総合周産期母子センター長