医師の紹介
診療内容
喫煙歴のある中高年者が咳や痰、労作時息切れ(階段や坂道を昇った時などの息切れ)を訴えるときに疑われるもので、そのような場合、同院・呼吸器内科ではスパイロメトリーや胸部画像などの検査を行って判断していく。
COPDと診断された場合には、禁煙指導の他、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種、気管支拡張薬(抗コリン薬、β2刺激薬)の吸入・貼付・内服、テイフィリンや喀痰調整薬の内服、吸入ステロイド薬の使用、呼吸リハビリテーション、栄養療法,在宅酸素療法などによって、包括的な診療が行われている。さらに、同大学教授の山谷医師は、COPDの急性増悪(呼吸困難、咳、喀痰などの症状が日常の生理的変動を超えて急性に悪化する場合)に対する「マクロライド療法」を開発し、その有効性を見出した。「マクロライド療法」は工藤翔二日本医科大学名誉教授が「びまん性汎細気管支炎」に対して開発し、痰などの症状の緩和や予後改善をもたらす治療法として確立されている。COPDの急性増悪は「びまん性汎細気管支炎」と類似の好中球性気道炎症が関係している。この知見をもとに、もともと感染症治療において重要な役割を果たしていたマクロライド系抗菌薬の投与が、COPDの急性増悪に対しても抑制効果を持つことを確認したのである。
山谷医師が教授としてリードする同大学の先進感染症予防学寄附講座において、感冒症候群に随伴するCOPD(肺気腫・慢性気管支炎)および気管支喘息の増悪などへの抑制薬・予防薬の研究開発を重ねてきた結果であった。
2011年9月には、厚生労働省からマクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンの使用を認める通達が出された(保険適応外)。これは、山谷医師らが作成委員として改定した日本呼吸器学会COPD(慢性閉塞性肺疾患)ガイドライン第3版が参考資料として採用されており、山谷医師らの開発に基づきCOPDへの使用が認められたものである。
マクロライド系抗菌薬を用いたCOPDの治療は、急性増悪を繰り返す患者において増悪を予防する治療効果を有する。その治療効果は欧米の研究でも追認されており、症状の改善や死亡率の減少などが期待されている。
医師プロフィール
2002年 東北大学病院 老年科准教授
2008年 東北大学大学院・医学系研究科 先進感染症予防学寄附講座教授
「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」を専門とする医師
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青柴和徹 医師 (あおしばかずてつ)
東京医科大学茨城医療センター
内科(呼吸器) 教授
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石原英樹 医師 (いしはらひでき)
八尾徳洲会総合病院
呼吸器内科 部長
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木田厚瑞 医師 (きだこうずい)
日本医科大学呼吸ケアクリニック
所長
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久保惠嗣 医師 (くぼけいし)
地方独立行政法人 長野県立病院機構
理事長
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瀬山邦明 医師 (せやまくにあき)
順天堂大学医学部附属順天堂医院
呼吸器内科 先任准教授
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巽浩一郎 医師 (たつみこういちろう)
千葉大学医学部附属病院
呼吸器内科 科長 教授
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永井厚志 医師 (ながいあつし)
新百合ヶ丘総合病院
呼吸器内科
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長瀬隆英 医師 (ながせたかひで)
東京大学医学部附属病院
呼吸器内科 科長 教授
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西村正治 医師 (にしむらまさはる)
北海道大学病院
第一内科 診療科長 教授
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平田一人 医師 (ひらたかずと)
大阪市立大学医学部附属病院
呼吸器内科 病院長
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山口佳寿博 医師 (やまぐちかずひろ)
東京女子医科大学病院
睡眠科