松尾清一 医師 (まつおせいいち)

名古屋大学医学部附属病院

愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65

  • 腎臓内科
  • 副総長
  • 教授

腎臓内科 内科

専門

腎臓内科学(慢性腎臓病)

松尾清一

国立大学附属病院長会議のグランドデザイン作成委員長を務め「社会貢献」を最大の目標に病院改革を進めるなど、大学病院の院長として経営的手腕を大いに振るっている。専門分野の腎臓内科学の領域では、日本腎臓学会理事長として、増加する一方の慢性腎臓病の啓もう活動も積極的に推進。「練習千日、勝負一瞬」を座右の銘に掲げ、激務の中でも新しい論文を読むなど、常に最新の知識を吸収している。松尾医師は言う「医療も組織管理も、とにかくトレーニングをとにかく続けることが重要なのです」

診療内容

学会の調査によると日本には1,330万人(20歳以上)の慢性腎臓病患者がいると考えられている。しかし、この数字が国民に広く浸透しているとはいえないと松尾医師は言う。
「近年は、慢性腎臓病が進行してしまい透析療法を余儀なくされる人が増えているという事実があります。さらに腎機能の低下によって脳卒中、心筋梗塞などの心血管病の発症が増えたり、進行につながったりしていることが明らかになっています。今や、新しい国民病ともいわれるほどで、もっとも注意すべき病気という認識が高まっています」
慢性腎臓病(CKD)とは、慢性的に経過する腎臓の病気のことをいい、腎炎、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などが含まれる。具体的には、たんぱく尿、血尿といった尿異常が3カ月以上続いているか、腎機能が60%未満にまで低下した状態を指し、腎機能が正常の60%未満になると、むくみ、貧血、意識障害、嘔吐といった症状が現れ始める。さらに、15%以下になると人工透析や腎移植も視野に入れる必要がある末期腎不全と呼ばれる状態になる。リスクファクターは、肥満、高血圧、糖尿病、高脂質症といったメタボリックシンドロームなど。最近では高尿酸血症の人も、発症リスクが高いことがわかっている。また、家族に慢性腎臓病の患者がいる場合は、比較的リスクが高いと考えられている。
現在の医療では、悪くなってしまった腎臓を元の正常な状態に回復させることは困難とされ、多くの場合は末期腎不全に進行する。しかし、生活習慣の改善に努めるとともに、適切な治療を受けることによって、病気の進行を抑えて、末期腎不全に至る次期を遅らせることが可能だ。
「治療は原疾患と呼ばれる腎不全の原因となっている病気、例えば糖尿病などの治療が優先され、運動、食事、禁煙といった生活指導も行われます。さらに、貧血、高カリウム血症など、腎不全の症状を抑えるために、薬剤が投与されることもあります」
松尾医師によると、腎機能の低下が同じレベルでも、機能低下の速度は一人ひとり異なるそうだ。患者は定期的に専門医を外来受診して、最も適した治療を受けることが大切だ。
一般に腎機能が10%以下になると、透析、移植が必要になる。この状態になると、回復の可能性はなく、尿毒症、不整脈や心臓が止まることもある高カリウム血症、心不全などが起こる危険性があるので、治療の選択・実施に躊躇は許されない。薬剤で抑えることができない心不全、尿毒素の症状、高カリウム血症が起こっている場合は、さらに早い段階で透析や移植を行うこともあるそうだ。
透析には、透析器に血液を通してきれいにする「血液透析」と、お腹にカテーテルを入れて透析液を出し入れする「腹膜透析」の2通りの方法がある。一方、腎臓移植には、家族や配偶者などから提供を受ける「生体腎移植」と、脳死や心臓死の型から提供を受ける「献腎移植」がある。
松尾医師は言う「医師は患者さんと相談しながら、一人ひとりの体質、体調、ライフスタイルに合わせて最も適した治療法を選択します。いずれの治療法も、相反するものではないので、状態に合わせて治療法を変えたり、併用したりすることも可能です」

医師プロフィール

1976年 3月 名古屋大学 医学部 医学科 卒業
1981年 3月 名古屋大学 大学院医学研究科 第三内科学 卒業
1981年 名古屋大学大学院 医学研究科 内科学 博士課程 修了
1982年10月 労働福祉事業団中部労災病院内科医長
1985年 1月 労働福祉事業団中部労災病院内科副部長
1986年 5月 名古屋大学医学部助手(第三内科)
1997年 2月 名古屋大学医学部講師(第三内科)
2002年1月 名古屋大学大学院病態内科学講座教授(免疫応答内科学分野)
2007年 名古屋大学医学部附属病院 院長