渡邉聡明 医師 (わたなべとしあき)

東京大学医学部附属病院

東京都文京区本郷7-3-1

  • 腫瘍外科教授
  • 副病院長
  • 大腸肛門外科科長

外科 肛門科 消化器外科

専門

大腸肛門外科(大腸がん)

渡邉聡明

渡邉聡明医師は、大腸・直腸がんの機能温存・低侵襲手術のスペシャリスト。通算手術数2,500例以上の実績がある。ほとんどの手術を腹腔鏡下に行い、最先端のロボット手術にも積極的に取り組んでいる。肛門温存・機能温存に注力しており、欧米で行われている「術前(化学)放射線療法」を直腸がんの集学的治療として早くから導入し、その治療数は400例以上で国内最多といえる。国内外の臨床試験などで実証された標準治療をまとめた権威ある「大腸がん治療ガイドライン」の作成委員会の委員長でもある。

診療内容

大腸がんの患者は増加傾向にあり、男女合わせた死亡者数が、肺がん・胃がんに次いで3番目に多いがんである。女性のトップは女性特有のがん(乳がん・子宮がんなど)ではなく、実は、大腸がんである。その原因の背景には「食の欧米化」があり、食事が高線維・低脂肪の和食から、高脂肪・低線維の洋食にシフトしていった結果といわれている。ある調査で、日本生まれでアメリカ育ちの人は、日本生まれで日本育ちの人より、大腸がんになる確率が高いことが分かった。どちらも同じ日本人なのに、なぜと思われるがこれは、やはり食事など生活習慣が影響していると考えられる。

大腸がんによって下血や血便が見られる状態でも、自覚症状はほとんどない。
「大腸がんが肛門近くにできた場合、便が通りにくくなり、腸閉塞や血便などの症状が出ることがあります。しかし、腸の奥の方にできた場合には症状は出にくく、今までなかった下痢や便秘など排便習慣に変化があった場合は、精密検査を受けることをお勧めします」と渡邉医師は言う。
ロボット手術早期にがんが見つかれば、おなかを切らずに内視鏡を使って治療ができる。ある程度以上進んで見つかったならば、外科的に、がんと周辺のリンパ節を取る手術が必要となってしまう。従来は、おなかを大きく切って手術する「開腹手術」が主流だったが、最近は、体に小さい穴をいくつか開けて手術する「腹腔鏡下手術」が行われるようになった。お陰で痛みが少なく、早期に退院できる利点がある。もっと進行してから見つかれば他の臓器への転移も避けられない。やはり早期発見が完治の可能性を高める。

進行性の直腸がんに対しては「術前化学放射線療法と手術」で機能温存・根治性の両立を目指す。週5日放射線を外来通院でかけながら並行して抗がん剤を飲み、がんを小さくしてから手術を行う。
抗がん剤を使った治療には3種類あり
①手術ができないほど進行した場合に延命を目的に使う
②手術の前に、がんをできるだけ小さくするために使う(術前化学療法あるいは術前化学放射線療法)
③手術後、再発を防ぐために使う(術後補助化学療法) が挙げられる。
術後補助化学療法を受けた人は、受けなかった人より5年生存率が高いという報告もある。
「以前、大腸がんは抗がん剤が効きにくいがんと言われました。しかし、オキサリプラチンなどが登場し、大腸がんも薬の効果が期待される時代になりました。この薬は、世界で、術後補助化学療法の標準薬として、広く使われています。更には分子標的薬も新たに登場し、大腸がん治療は、高度な専門的知識に基づいて、手術のみならず抗がん剤を含めた集学的治療を実践することで治療成績の向上をめざす時代になっております」(渡邉医師)
渡邉医師が科長を務める大腸・肛門外科では、大腸がん・肛門がん・大腸ポリープ・大腸ポリポーシス・潰瘍性大腸炎・クローン病・虚血性腸炎・痔核・痔瘻など良性疾患から悪性疾患にいたるまで、大腸・肛門領域におけるあらゆる疾患の診断と治療を行っている。直腸がんの治療では、欧米で広く行われている術前放射線(化学)療法を補助療法として早くから取り入れ、治療成績の向上に努めている。また、低侵襲手術である腹腔鏡手術を結腸がんや直腸がんに対し積極的に行っている。2012年7月からは、ロボット支援下手術(da Vinci)を導入。専門分野でチームを組み、治療の開始前から開始後まで患者のケアを徹底している。

医師プロフィール

1957年 長野県生まれ
1985年 東京大学医学部卒業。同年、同第一外科研修医。
1993年 国立がんセンター中央病院チーフレジデン卜
1994年 東大病院第一外科助手
1995年 米国ジョンズ・ホプキンス大学留学
1997年 東大病院腫蕩外科助手。
1998年 東大外科講師。
1999年 同大 助教授
2006年 帝京大学 教授
2012年 東京大学教授・腫瘍外科学
2013年 東京大学教授・腫瘍外科学・血管外科学
2013年 東京大学医学部附属病院副病院長