後藤元 医師 (ごとうはじめ)

複十字病院

東京都清瀬市松山3-1-24

  • 呼吸器内科
  • 院長

内科 呼吸器科

専門

呼吸器内科(主に感染症)

後藤元

日本呼吸器学会の成人市中肺炎、院内肺炎診療ガイドライン委員を務めた、呼吸器内科のエキスパート。特に呼吸器感染症を専門とし、近年増加の一途をたどる抗菌薬耐性をもつ肺炎の診療に携わってきた。いまだ治療に難渋することが多い非結核性抗酸菌症については、杏林大学在職中に新菌種発見・研究に貢献した1人であり、現在も多くの患者を診療する。難治性結核などの呼吸器疾患に強い複十字病院で診療するほか、杏林大学名誉教授も兼任している。
日本感染症学会で権威があるとされる「二木賞」のほか、13年間にわたって教鞭をとった杏林大学では「The Best Teacher of the Year」を複数回受賞している。

診療内容

前職の杏林大学では4年間にわたり医学部長を務め、最終講義には150人もの聴講者が訪れたという後藤医師。同大学の退職後は、呼吸器疾患の治療実績が豊富なことで知られる複十字病院で、院長として診療にあたる。同院は、国内で行われる多剤耐性結核の手術のうち、半数以上を実施するほどの治療実績を持つ病院だ。

後藤医師の専門は、肺炎をはじめとする呼吸器感染症。特に、免疫不全症例での肺炎や非結核性抗酸菌症など、難治性の病気を中心に診療してきた。近年の傾向として、時代の変遷とともに新しい耐性機構による高度な薬剤耐性菌が増加している、と後藤医師は指摘する。「ペニシリンが効きにくい肺炎球菌、マクロライドが奏功しないマイコプラズマ肺炎のように、薬剤耐性で治療に難渋する感染症が増えています。結核についても、多剤耐性の場合があり、どの薬も効かなくなると、手術に踏み切ることもあります」。

後藤医師が重視するのは、呼吸器感染症をいかに鑑別するかにある。たとえば、レジオネラ肺炎は神経症状や消化器症状が主になることがあり、呼吸器科以外で診療されることもある。また、レジオネラ菌は通常の培地で培養できない上、通常の染色もできないために診断が遅れ、手遅れになることもあるという。「以前、温泉旅行後に体調を崩し、うわごとを言ったりして神経科を受診した患者さんで、あまりに具合が悪くてX線を取ったら肺炎だった人がいました。その時は偶然に救急室を通りかかった呼吸器内科医がX線画像を見てレジオネラ肺炎を疑い、特殊な培地、特殊な染色でようやく発見できたのです。単なる重症肺炎と診断されて普通の抗菌薬を使っていたら、死に至ったものと思われます。病気をいかに鑑別できるかが大切です。ただ、肺炎球菌もそうですが、現在はレジオネラ肺炎も尿検査を行えば15分程度で判定できるようになり、その点は非常に助かっています」。

国をあげた肺炎対策として、高齢者を対象に肺炎球菌の定期接種が実施されるようになったのが2014年10月。後藤医師は「それでもまだ、先のことを考えると油断は禁物」と語る。肺炎球菌にはさまざまな型があり、現在のワクチンでは、全ての型を抑えることはできない。ワクチンが効かない型はこれまで通り存在するため、いつの日か猛威を振るい始める可能性が残っている。定期接種を受ければ絶対に大丈夫とは言えず、決して楽観視できない状況であるという。

さらに、今後ますますグローバル化が加速すれば、呼吸器感染症もグローバル化していくことが予測される。「外国人の結核なども、今後は診療の機会が増えるだろう」と話す後藤医師。細菌・ウイルスとの闘いはまだまだ続くようだ。

医師プロフィール

1948年 静岡県生まれ
1973年 東京大学医学部 卒業
1984年 スエーデン王立エーテボリ大学医学部客員研究員
1997年 東京都立駒込病院内科部長
2001年 杏林大学医学部呼吸器内科教授
2008年 杏林大学医学部付属看護専門学校長
2010年 杏林大学医学部長
2014年4月より現職。杏林大学名誉教授も兼任する