薄毛の悩みは多くの男性にとって重要な課題です。この記事では、薄毛を引き起こす主な原因を深堀りし、効果的な対策と改善方法を解説します。
食べ物の選び方から生活習慣の工夫まで、薄毛の進行を遅らせたいという方必見のアドバイスが満載です!
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男性のヘアサイクルは2〜5年程度
髪の毛は、一定の周期で生え変わります。周期のことをヘアサイクルと呼び、成長期、退行期、休止期の3つの段階から成り立っています。成長期では髪が積極的に成長し、退行期を経て休止期に入ると、新しい毛が生える準備が始まります。
なお、ヘアサイクルは毛髪1本ごとに異なり、サイクルが乱れると、薄毛や抜け毛の原因になることもあります。
ヘアサイクルは、男性が2〜5年、女性が4~6年で1サイクルと言われています。一定のサイクルが乱れると、毛髪が十分に成長しなくなり、長さが短く、細い毛髪が増えていくと考えられているので注意が必要です。
AGAだけじゃない!髪の毛が抜ける原因を知ろう
薄毛や抜け毛の悩みを持つ多くの方は、まず最初にAGA(男性型脱毛症)を疑うことでしょう。
しかし実は、髪が抜けるのにはそれ以外にも様々な原因が存在します。遺伝、生活習慣の乱れ、ストレス、栄養不足など、薄毛に影響を与える要因は多岐にわたります。
主な薄毛の原因を詳しく見ていきましょう。
①男性ホルモン(AGA)による薄毛
AGAは、主に男性に多い症状であり、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合し、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換される過程が原因で発症します。
しかし、男性ホルモン自体が直接的に薄毛を引き起こすのではなく、DHTが毛包のホルモン受容体であるアンドロゲンレセプターと結びつくことで、頭髪の生長サイクルに変調をきたします。
その影響により、髪の成長期が短縮し、十分に伸びる前に抜け落ちてしまいます。さらに、新しく生えてくる髪も細く弱いものになる傾向があります。このような一連のメカニズムがAGAにおける薄毛の原因であると、科学的に解明されています。
前頭部や頭頂部などの男性ホルモン感受性毛包においては 逆に軟毛化現象を引き起こす.男性ホルモン感受性毛 包の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体が存在する が,髭や前頭部,頭頂部の毛乳頭細胞に運ばれたテス トステロンは II 型 5α―還元酵素の働きにより,さらに 活性が高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換さ れて受容体に結合する.DHTの結合した男性ホルモン 受容体は髭では細胞成長因子などを誘導し成長期が延 長する.逆に前頭部や頭頂部の男性ホルモン感受性毛 包においては,DHTの結合した男性ホルモン受容体は TGF-β や DKK1 などを誘導し毛母細胞の増殖が抑制 され成長期が短縮することが報告されている14)
眞鍋求, et al. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版. 日本皮膚科学会雑誌, 2017, 127.13: 2763-2777.
とはいえ、テストステロンと5αリダクターゼは体内に元から存在するため、完全に取り除くことは不可能です。DHTの産生や作用を抑制することでAGAの治療を行うことができます。ただし、乱れたヘアサイクルを改善しさえすれば、必ずしもDHTの産生や作用を抑制する必要はありません。
②遺伝によって薄毛になりやすい体質
遺伝は薄毛を引き起こす重要な要因の一つです。AGAとの関連が深いホルモン受容体の数は、遺伝子によって決定されており、その数が多いほどAGAの発症リスクが高まります。つまり、男性ホルモンの影響を受けやすい体質が遺伝するということです。
実際、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児を対象とした調査では、ライフスタイルが大きく異なっていても、髪の毛の変化はほぼ同じように進行することが明らかになっています。また、薄毛の原因の約81%が遺伝によるものだと報告されています。
男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンが関与するが, 遺伝的背景としては X 染色体上に存在する男性ホルモンレセプター遺伝子の多型や常染色体の 17q21 や 20p11 に疾患関連遺伝子の存在が知られている
眞鍋求, et al. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版. 日本皮膚科学会雑誌, 2017, 127.13: 2763-2777.
このように、遺伝的な要素と男性ホルモンの作用が複雑に絡み合うことで、薄毛のリスクが高まります。遺伝による薄毛の根本的治療は困難ですが、進行を遅らせたり改善したりすることは可能です。家族歴を考慮し、個々の状況に合わせた対策をとることが重要です。
③血行不良によって髪の毛に栄養が届かない状態
血行不良が進むと、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が頭皮に十分に届かず、薄毛の原因となることがあります。髪の主成分であるケラチンは、アミノ酸やミネラル、ビタミンなどから生成されますが、これらの栄養素は血液によって頭皮まで運ばれています。
頭皮の血行不良の原因には、加齢によるコラーゲンの減少やストレスによる交感神経の緊張があげられます。コラーゲンは毛細血管を支える役割があり、加齢とともに減少するほか、ストレスで交感神経が刺激されると血管が収縮し、頭皮への血流が低下します。
良好な血行は、髪の成長に必要不可欠です。
④不規則な生活による頭皮の皮脂バランスの悪化
食生活の偏りは、髪の毛の成長に必要な栄養素の不足を引き起こします。タンパク質や亜鉛などのミネラル、糖質が不足すると、髪の成長が阻害されてしまいます。
生活リズムの乱れもストレスの原因となり、薄毛を引き起こす可能性があります。さらに、髪の成長は主に睡眠中に行われるため、慢性的な睡眠不足は薄毛のリスクを高めてしまいます。
脱毛や薄毛の原因は、これまで遺伝的素因 やホルモンバランスの乱れなどによるものとされてきたが、特に近年は、環境からのストレ スに加えて精神的なストレスとの関係について研究が行われている。
嵯峨山和美. Inonotus obliquus (Chaga) 由来の発毛・育毛活性成分に関する研究. (No Title), 2019.
バランスの取れた食事と規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。
⑤ストレスによる血行不良と皮脂バランスの乱れ
長期間のストレスは、血行不良や皮脂バランスの乱れを引き起こし、薄毛の原因となります。
ストレスでコルチゾールというホルモンの分泌が増え、髪の成長期を短縮させます。また、ホルモンバランスが崩れると、男性ホルモンが過剰に分泌される可能性もあります。
さらに、ストレスは交感神経を刺激し、血管を収縮させます。その結果、頭皮への栄養供給が滞り、発毛や髪の成長が鈍化します。
ストレス対策は薄毛予防に欠かせません。リラクゼーションなどで上手にストレス解消を心がけましょう。
⑥紫外線や肌に合わないシャンプーなどの使用
紫外線は、髪の毛や頭皮に悪影響を及ぼし、薄毛の原因となります。可能な限り日傘や帽子などで紫外線対策をすることをおすすめします。
また、シャンプーで不適切な洗髪をすると、汚れの蓄積や皮脂の過剰な除去が起こり、頭皮環境を悪化させます。刺激の強いシャンプーや整髪料の使用も控えめにしましょう。
外的要因にも気をつけることが、薄毛予防には重要です。
5つの薄毛の種類
薄毛を解消するためには、自分の状態を正しく理解し、適切な対策を行うことが重要です。
ここでは、薄毛の原因となる5つの症状と特徴を紹介します。
①30〜40代に見られる「AGA(男性型脱毛症)」
AGA(男性型脱毛症)、30〜40代の男性に多く、薄毛の主な原因です。壮年性脱毛症や若ハゲなどと呼ばれることもあります。
男性ホルモンのDHTが深く関わっており、時間とともに髪の密度が減少していくのが特徴です。適切なケアと早期の対応が、進行を遅らせる上で重要となります。
②自己免疫疾患による「円形脱毛症」
円形脱毛症は、体の免疫システムが毛根を誤って攻撃し、特定の頭皮部分で髪が抜ける自己免疫疾患の一種です。
一般的に10円玉程度の円形の脱毛斑が生じますが、症状は様々です。適切な治療により改善が期待できます。
③皮脂分泌過剰による「脂漏性皮膚炎」
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の分泌過剰によって引き起こされ、頭皮に赤み、かゆみ、皮むけなどの症状が出ます。
過剰な皮脂が「マラセチア」という皮膚常在菌の増殖を招き、炎症を起こします。
④ホルモンバランス・自律神経の乱れなどから起こる「びまん性脱毛症」
びまん性脱毛症は、ホルモンバランスの乱れや自律神経の不調から引き起こされ、髪全体が均等に薄くなっていきます。特に年齢を重ねるごとに発症しやすいとされています。
⑤不安やストレスが原因の「抜毛症」
不安やストレスが主な原因で、無意識のうちに自分で毛を抜いてしまう状態を抜毛症といいます。
抜毛症は単なる悪習慣ではなく、精神的なストレスや不安、強迫性障害との関連が指摘されています。治療には通常、認知行動療法などの心理療法や、場合によっては薬物療法が用いられるのが一般的です。
薄毛の進行を遅らせたい!6つの対策方法を紹介
薄毛の進行を遅らせるには適切な対処が必要です。
ここでは、薄毛の進行を遅らせるための具体的な対策方法を6つ紹介します。
①クリニックで内服や外用療法などの治療を受ける
クリニックでは専門的な医師から、自身の症状に合った発毛・育毛の治療を提案してもらえます。医薬品の処方のみならず、生活習慣のアドバイスも受けられるでしょう。
②頭皮マッサージなどでリラックスする
入浴中や就寝前に定期的な頭皮マッサージを行うことで、頭皮の柔軟性が高まります。
日々のストレスを緩和することもできるため、気持ちもリラックスするでしょう。
③適度な運動を取り入れる
適度な運動は全身の血行を改善し、髪の毛に必要な栄養素が行き渡りやすくなることから、薄毛の進行抑制にも有効な可能性があるとされています。
定期的な運動習慣を身につけることで、髪と頭皮の状態を良好に保ち、薄毛のリスクを低減できる可能性が高まるでしょう。
ただし、よく運動する人の方がAGAの割合が高かったという研究結果もあるため、一概にはいえません。
④十分な睡眠などを確保しストレスを解消する
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、ヘアサイクルの乱れや髪の質の低下を招きます。睡眠は髪の健康に欠かせません。十分な睡眠を確保するようにしましょう。
⑤正しくシャンプーや発毛剤を使用する
シャンプーの正しい洗髪方法の使用は、頭皮環境を改善し、薄毛の進行を遅らせる有効な手段です。例えば、爪を頭皮に立てていないか、すすぎ残しがないかなどを見直してみましょう。
また、発毛剤の使用も検討しましょう。商品ごとに、抜け毛を防ぐなどの特徴があります。専門医や薬剤師のアドバイスを受けながら、症状に合った発毛剤を選んでみてください。
⑥髪の毛に必要な栄養素を含むサプリメントを飲む
食事だけでなく、サプリメントで毛髪に必要な栄養素を摂取することを検討してみても良いでしょう。髪の毛の成長に必要な栄養素は、タンパク質やビタミン、ミネラル、亜鉛などがあります。
髪の主成分であるケラチンの生成にはタンパク質が欠かせず、ビタミンAは頭皮の健康を維持するのに役立ち、鉄分は毛根への酸素供給をサポートします。
薄毛の原因に関するよくある質問
薄毛を隠すためのスプレーは頭皮に良くない?
薄毛を隠すためのスプレーは、十分なケアを行えば、頭皮に悪影響を与える可能性は少ないと考えられます。ただし、使用後は丁寧に洗い流し、過度な使用は避けるようにしましょう。
漢方でも薄毛の対策はできますか?
漢方では、体質や体内のバランスを整えることに焦点を当て、薄毛の改善を目指します。たとえば、薄毛の原因が血液不足によるものであれば、血液の増加を促す漢方薬を用います。
ただし、漢方薬に直接的な発毛効果があるわけではありません。エビデンスがあるわけではないので、無理に飲まない方がいいでしょう。
なお、円形脱毛症の治療では漢方療法を「行わないほうがよい」と評価されています。
薄毛は食べ物を変えると良くなりますか?
薄毛を予防するうえで、肉や魚、卵、大豆、乳製品といったタンパク質豊富な食品を中心とした食事にすることが大切です。バランスの良い食事は、頭皮環境や血流の改善を促します。
とはいえ、食事だけで薄毛を改善することは難しいため、適切な治療を行うようにしましょう。
まとめ:薄毛の原因を知って自分に合った対策で予防していきましょう!
薄毛の原因は一つではありません。生活習慣の見直し、適切なケア製品の選択、栄養バランスの良い食事など、様々な対策を組み合わせることで、薄毛の進行を遅らせることが可能です。
自分の生活習慣や体質に合った対策を見つけ、健康な髪を保つための努力を続けましょう。