医学生こーたのひよっ子クリニック

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第5回 「先生や。楽に死ねる方法はないかね」

「先生や。楽に死ねる方法はないかね」

病院で実習していると高い頻度でこのような言葉に出合う。ほとんどはご高齢の方による冗談だが、癌(がん)などによる疼痛(とうつう)に耐えきれず一層の事死んでしまいたいという悲痛な叫びであることもある。

日本では消極的安楽死は認められているが、積極的安楽死は認められていない。前者はモルヒネなどの鎮痛薬の使用といった緩和ケアなどによって「患者が自然な死を迎えるためのサポート」、後者はベントバルビタールなどの毒薬投与などによって「患者の死をもたらすこと」だ。 

がん疼痛で苦しんでいる患者を実習で目の当たりにした私個人の意見としてだが、積極的安楽死もまた認められるべきだと思う。もちろん命を粗末にすることがないように適応の基準を定めることは必要であるが、幸せな終活をするためにも選択肢を増やすべきではないか。

しかしこの議題について国は重要視していない。小学生の頃、学校の授業で積極的安楽死について討論会をした記憶がある。その頃から社会問題として話題にはあがっているが、進展があるようには思えない。

理由は簡単である。安楽死の議論をしても国民の関心がそこまで高くないからだ。支持率や選挙の得票数を稼ぐために、少人数にしか需要がない議論を盛んにしようとは思わないだろう。

しかし今後医療の発達によって寿命が伸びる一方で、薬による副作用や癌性疼痛に苦しめられる期間は増えてくる。後回しにしていてもいつか大きな社会問題となることは間違いない。

これを解決するために、国民は安楽死に関心を持ち、国の積極的な議論を引き起こすことが大切であると私は考える。そして医師は現状を知る人間として、安楽死を求めている人がいるということを世の中に発信していくことが今求められている。