鎮痛薬投与の基本原則

 がん患者の持続性の痛みに鎮痛薬を効果的に使用するには、守るべき5つの基本原則があります。

□経口投与(by mouth)
 鎮痛薬投与経路の第1選択は経口投与です。これは患者の社会生活をさまたげることなく、有効な鎮痛を目指すことに主眼が置かれているためです。経口投与ができない場合には直腸内投与(坐薬、水溶液注入)が第2選択となります。
 いずれもできないときは注射投与(皮下注入、持続静脈内点滴)です。

□定期的投与(by the clock)
 時刻を決めて規則的に鎮痛薬を投与します。がん性疼痛のような持続性疼痛の場合、疼痛が出現してきてから鎮痛薬を使用する頓用方式は用いません。通常、鎮痛薬による除痛効果終了時の約1時間前に次の投薬をおこないます。

□段階的投与(by the ladder)
 段階的投与とは、鎮痛薬を選ぶに際して、効力の順に段階的に鎮痛薬を投与します。これはWHOがん疼痛(とうつう)治療ラダーといわれる方法で、鎮痛効果の低い薬剤を増量しても十分な効果が得られない場合、鎮痛効果の1段高い薬剤に切り替えます。同程度の鎮痛効力をもったほかの薬剤に切り替えることはしません。
 非オピオイド→弱オピオイド→強オピオイドという3段階の治療ラダーがWHOより提示されています。

□個人差を考慮した投与(for the individual)
 鎮痛薬の必要量には個人差があります。それぞれの患者について鎮痛効果が得られるまで薬剤投与量を増加し、鎮痛薬の必要量を決めていきます。この量は少なくとも5時間、除痛効果が維持され、副作用が最小に抑えられる量をめやすとします。
 初回投与については、常用量で開始し、効果をみながら投与量を50%ずつ増加していく方法です。増量により除痛効果が得られる場合には、その薬剤を増量します。数回の増量で除痛効果がみとめられなかったら薬剤を切り替えます。
 通常、薬剤には有効限界があります。これは、一定量以上薬剤を増量しても鎮痛効果が高くならず、副作用のみが増強する現象です。モルヒネやオキシコドンには有効限界がなく、増量によって除痛効果の増強を期待できることになります。

□その他の注意点(attention to detail)
 以上の投薬4原則をふまえたうえで、細部に気を配る必要があります。そのほかに注意する例として、鎮痛薬の副作用(便秘など)を事前に抑える対策をとったり、患者の心理状態の変化を把握し、適切な対応をすることで人間関係の強化をはかったりすることなどがあげられます。
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