ペインクリニック

 痛みは、不快を与え、時に恐怖につながります。痛みにより、日常生活が障害されたり、うつ状態におちいる人も少なくありません。痛みのコントロールは人類の悲願であり、この痛みの診断と治療を専門におこなう診療科として登場したのが、ペインクリニックです。
 痛みは、突然生じたものから、長期間続いているものまでさまざまです。くも膜下出血による頭痛、急性心筋梗塞による胸痛、腸閉塞による腹痛などは、いずれも突然に生じ、しかも激烈です。これらの痛みは、痛みの原因が明確で、その原因が治療されれば痛みは取り除かれます。しかし、痛みのなかには、原因不明のまま長期間続いたり、原因ははっきりしているものの除去できないで慢性化するものもあります。こういったなかなか治らない痛みが、ペインクリニックの対象となります。
 実際の対象をあげてみますと、頭痛、帯状疱疹(ほうしん)による痛み、三叉(さんさ)神経痛、肋間(ろっかん)神経痛、変形性脊椎症や椎間板ヘルニアによる頸(けい)部・背部・腰部の痛み、坐骨(ざこつ)神経痛、閉塞性動脈硬化症などの血行障害に伴う四肢の痛みなどがあります。また、がんの緩和ケアにおいては、がんの疼痛(とうつう)を取り除くことが重要な目標の一つになっています。
 ペインクリニックでは、神経ブロック療法を中心に、薬物療法、理学療法、心理療法などによる治療がおこなわれています。そのほかに、鍼灸(しんきゅう)が用いられることもあります。がんの痛みに対しては、放射線療法もあります。痛みは、神経を伝わり、脳で感じるものですが、血のめぐりを悪くし酸素不足を生じさせます。その酸素不足が痛みを増強する物質(発痛物質)を産生し、痛みがさらに増すという悪循環を生じさせます。
神経ブロック療法は、痛みにかかわっている神経の周囲に局所麻酔薬を注射し、神経のはたらきを抑えるとともに、痛み周辺の筋肉の緊張をやわらげ、血のめぐりをよくします。発痛物質も流し去ります。こうして、痛みはやわらげられます。
 なお、痛みに対して、薬物療法が功を奏することも少なくありません。また、痛みの原因によっては、食事や生活パターンを変えたり、リハビリテーションへの取り組みや心理的アプローチも必要となってきます。特に、緩和ケアにおいては、いわゆる身体的痛みへのアプローチに加え、不安感、恐怖感、うつ状態などの心理的痛み、家族や仕事などに関する社会的痛みへの対応も重要です。
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