胞状奇胎 家庭の医学

解説
 本来は胎盤になるはずの絨毛(じゅうもう)が異常増殖して、イクラのような粒がたくさん子宮内につまった状態で、胎児は存在しません。
 症状は妊娠の徴候と断続的な出血やおなかのはりですが、超音波(エコー)検査で診断されます。受精卵の異常ですが原因ははっきりしていません。
 胞状奇胎(ほうじょうきたい)と診断されたら、子宮内容を外へ出すため掻爬(そうは)手術をおこないます。1週後にもう一度掻爬手術をして完全に取り除いたことを確認します。胞状奇胎は子宮内に残った奇胎が絨毛がんに変化するリスクがあり、その発生率は5~10%程度です。そのため胞状奇胎のあとは、最低半年から1年は、ホルモン値を測定したり基礎体温を記録したり、通院する必要があります。その間は避妊が必要ですし、胸部のX線検査や抗がん薬による治療がおこなわれることもあります。
 次の妊娠は医師と相談してからにしましょう。発症時に40歳以上の場合や、もう妊娠を望まない場合は、絨毛がんを予防するために子宮全摘がすすめられます。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)