東京大生産技術研究所などのチームは、人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って運動神経が束状になった組織を作ったと発表した。運動神経が損なわれる筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの治療薬開発に生かせる可能性があるという。論文が27日付の米科学誌に掲載される。
 チームは1辺150マイクロメートルの通路を備えた小型装置を開発。iPS細胞を運動神経細胞に変えた上で、約1万個を装置の中で培養したところ、半数が電気信号を伝える「軸索」を通路へ伸ばし、軸索同士が集まって1本の束になった。束の直径は50~150マイクロメートル、長さは最長2センチだった。
 体内では多数の神経細胞の軸索が束状になっている。これまでもiPS細胞から神経細胞が作られているが、軸索を束にする試みはなかった。
 作製した束状組織を傷つけて病気の状態に近づけた上で、化合物を加えて傷が治るかを調べることなどで、薬の開発に生かせるという。今後はチームの一員が設立したベンチャー企業が、薬の開発支援に取り組む。 (C)時事通信社