人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、実際の心臓組織に近い構造の心筋細胞を作製することに成功したと、京都大の劉莉・特定准教授らの研究グループが27日、米科学誌ステムセル・リポーツに発表した。
 心筋梗塞などの虚血性心疾患患者は国内に約80万人おり、根本的な治療法は心臓移植しかない。研究グループは「慢性心筋梗塞の新規細胞治療方法や創薬分野での応用が期待される」としている。
 従来の手法でiPS細胞から培養した心筋細胞は、生体内のものと異なる単層の構造で、収縮力が弱いなど課題があった。研究グループは、新たに開発したナノファイバーを縦横1センチのシート状にして、iPS細胞から作製した心筋細胞を培養。これにより、多層で厚みがあり収縮力も強く、実際の心臓組織に近い細胞ができた。
 作製した心筋細胞を心筋梗塞を起こしたラットに移植した実験では、2カ月後に十分な厚さのある細胞が定着し、心機能が回復する傾向が見られた。ナノファイバーは生体分解性材料で作られており、ラットの生体内では約1カ月で分解された。 (C)時事通信社