安倍政権は衆院選公約に基づき、消費税増税による増収分の使い道を変え、国の借金返済に回す分を減らし、教育無償化などの財源に振り向ける方針だ。財政健全化が遠のくと懸念される中、財務省は2018年度予算編成に向け、診療報酬をマイナスにする圧力を強めている。介護報酬についても引き下げを要求。日本医師会や介護事業者は強く反発しており、激しい攻防となりそうだ。
 政府は財政健全化のため、18年度予算で高齢化に伴う自然増が6300億円と見込まれる社会保障費の伸びを5000億円に抑える方針。差額の1300億円の圧縮を目指し調整を進めている。
 しかし、消費税増税分の使途変更で借金返済が滞って、基礎的財政収支の20年度黒字化の目標は達成困難となり、財務省は社会保障費のさらなる抑制を検討。10月末の経済財政諮問会議では民間議員からも伸び幅を「5000億円からさらに抑えなければならない」との注文が付いた。
 そこで最大の焦点となるのが診療・介護報酬の改定だ。18年度は6年に1度の同時改定年。両報酬の改定率は社会保障費の伸びを大きく左右する。
 診療報酬に関しては、薬の公定価格を制度改革や市場の実勢価格に合わせて引き下げ、1000億円規模の削減が可能との見方もある。ただ、医師などの人件費まで減らすことには医療界が反発。日医の横倉義武会長は「医療従事者の賃上げは遅れている。報酬引き上げで手当てすべきだ」と主張する。介護報酬減額のハードルはより高い。介護保険サービス事業所の平均利益率は16年度、大きく低下。介護事業者は「経営は厳しく、もはや限界」と増額を訴えている。 (C)時事通信社