皮膚の表皮が剥がれ、水ぶくれや潰瘍ができる難病「表皮水疱(すいほう)症」の男児から表皮の一部を採取し、必要な遺伝子を導入した上で培養して移植する再生医療に成功したと、ドイツ・ルール大などの欧州研究チームが9日発表した。移植によって再生した表皮は全身の8割を占めた。
 重いやけどの患者には、患者自身の表皮を採取して体外で培養してから移植する治療が国内外で行われている。この男児は表皮と内側の真皮をつなぐ「基底膜」を生み出す遺伝子の一つが生まれつき変異しており、培養前に正常な遺伝子をウイルスを使って導入する遺伝子治療を組み合わせた。論文は英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
 治療は2015年に行われた。男児は当時7歳で、黄色ブドウ球菌や緑膿菌に感染してルール大付属病院に入院後、悪化した。実験的な再生医療を試みる以外に治療手段がなくなり、研究チームは両親の同意や大学倫理委員会などの承認を得て実施した。1年9カ月間の経過観察では、表皮は正常な状態を維持した。
 表皮水疱症にはさまざまな遺伝子変異によるタイプがあり、今回の治療法が他のタイプにも使える可能性があるという。 (C)時事通信社