社会保障費抑制の一環として、革新的な新薬などの薬価を一定期間、高値で据え置く「新薬創出加算制度」の廃止に向けた議論が中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)で行われている。国内外の医薬品メーカーは、高値で維持される新薬がなくなれば、多額の開発費を回収できなくなるリスクが高まる。メーカーが欧米向けの新薬開発を優先し、日本向けを後回しにすれば、再び最新の抗がん剤などを国内で早期に使えなくなる恐れが出てくるという。
 国内では2000年代まで、欧米で治療に使われている医薬品でも日本では使えない「ドラッグ・ラグ」が大きな問題となっていた。新薬に関する国の審査期間が長く、開発時の臨床試験費用がかさむ日本向けの新薬開発を、メーカーが後回しにしていたためだ。
 10年度に新薬創出加算制度が導入され、迅速に審査する体制も整ったことで、ドラッグ・ラグは解消に向かっていた。しかし、ここにきて同制度の見直し論が強まり、ドラッグ・ラグが再び長期化する恐れが生じている。 (C)時事通信社