神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件。被害者の多くは自殺願望につけこまれた若い女性だった。若年層の自殺をめぐる現状や求められる対策について、自殺予防の現場で活動する人に聞いた。
 警察庁の統計によると、2016年の自殺者は2万1897人。うち520人が10代、2235人が20代だった。厚生労働省の分析では、15年に死亡した15~29歳の死因として自殺が1位に、10~14歳でも2位に上る。
 東京都新宿区の「東京自殺防止センター」は、自殺を考える人から年間1万件超の電話を受け付ける。10~20代の相談は12%程度。相談員を17年間務める村明子さん(58)は「若者は虐待やいじめといった、実際に起きている問題が原因の場合が多い。物理的に選択の幅が狭く、より切実で深刻」と指摘する。
 事件の被害者には女子高生3人も含まれていた。3人はツイッターに自殺を示唆する書き込みなどをし、死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)とツイッターや電話でのやりとりの末、直接会うことになり被害に遭った。
 村さんは「『死にたい』『自殺をしたい』といった話は、なかなか聞いてくれる人がいない。その気持ちを受け入れてくれたと信頼してしまったのでは」と分析する。
 政府は事件を契機にツイッターの規制などを検討するが、村さんは「死ぬ、という言葉でしか苦しさを表現できない人もおり、規制はさらに居場所をなくす。家庭や学校、社会で死について語る場が必要」と話す。
 事件以降、センターへの電話件数は増え、中には「自分も殺されたかった」といった内容もあった。同じく相談員の中山町子さん(67)は、ツイッターなどで「自殺防止」の情報発信を増やすことを提案する。「死にたい人にとって、いろんな居場所が示されることが救いになる。安全な相談相手にたどり着くよう選択肢を増やすべきだ」。 (C)時事通信社