マウスのネグレクト(育児放棄)は、胎児だった時期に母親からの特定のホルモンの分泌が少なかったことが影響していると、高崎健康福祉大などの研究グループが発表した。論文は30日までに、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
 同大の下川哲昭教授は「人間についても(理由が明確でない)積極的ネグレクトの原因解明に切り込んでいけるのでは」と話している。
 研究グループによると、たんぱく質「CIN85」を欠損させた「ネグレクトマウス」は、通常のマウスと同じくらい子を生むが、ミルクを与えないなど子育てに関与しない傾向が強い。
 通常のマウスとネグレクトマウスを用いた実験で、胎児期の環境が将来の育児放棄傾向に影響を与えていることが判明。乳腺の発育や母性行動の形成などに作用するホルモン「プロラクチン」の胎児への分泌が、妊娠後期のネグレクトマウスでは少ないことが分かった。
 プロラクチンを出産までネグレクトマウスに投与すると、生まれた子はその後、通常のマウスと同程度の育児行動を示した。一方、CIN85を持つマウスに、プロラクチンの分泌を抑える薬を投与したところ、生まれたマウスは育児を放棄する傾向が強かった。 (C)時事通信社