大腸で粘液やホルモンを分泌する上皮細胞が幹細胞から生じた後、炎症で潰瘍ができた際に一部が幹細胞に逆戻りして修復を促すことがマウスの実験で分かった。東京医科歯科大の岡本隆一教授らが7日付の米科学誌ステムセル・リポーツ電子版に発表した。
 逆戻りした幹細胞から新たに上皮細胞が生じて組織が再生するが、潰瘍性大腸炎などの患者ではこの仕組みがうまく働かないと考えられる。岡本教授は「将来は薬でうまく働くよう誘導したり、細胞をいったん体外に取り出し、幹細胞を増やしてから戻したりする治療ができればと思う」と話した。
 炎症性腸疾患が長年続くと、がんができやすくなる。マウスの大腸炎から発展したがん組織を調べると、上皮細胞から幹細胞に逆戻りするとともに、異常に増殖し続けるようになったがん幹細胞が見つかった。今後、がん幹細胞に変わるきっかけの解明が期待される。 (C)時事通信社