集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎ウイルスに感染した患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。片山昭人裁判長(足立正佳裁判長代読)は、賠償請求権が20年で消滅する民法の「除斥期間」の起算点について、慢性肝炎の再発時とする初判断を示し、2人に請求通り1250万円ずつを支払うよう国に命じた。
 B型肝炎患者に対する国の救済制度では、病状に応じて給付金が支払われる。慢性肝炎の場合は1250万円だが、20年の除斥期間が過ぎると150万~300万円に減額されるため、判決は今後の患者救済に影響を与える可能性がある。
 訴えていたのは福岡県の患者2人。判決によると、50代男性は1987年、60代男性は91年に慢性肝炎を発症した。いったん病状が落ち着いたが、それぞれ2008年と04年に再発し、08年と12年に提訴した。
 患者側は再発時を除斥期間の起算点として救済を求めたが、国側は最初の発症時から除斥期間が適用され、請求権がなくなったと主張していた。
 片山裁判長は、慢性肝炎の特質や病状の進行を踏まえれば、発症の時点で患者が再発時の損害を請求するのは不可能だったと判断した。その上で、再発時に「質的に異なる新たな損害を被った」と捉え、再発時を除斥期間の起算点とした。
 患者側弁護団によると、全国のB型肝炎訴訟のうち、除斥期間をめぐって国と争っている慢性肝炎患者は約250人おり、うち約80人は今回の患者と同様に慢性肝炎が再発したケースという。 (C)時事通信社