親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置している慈恵病院(熊本市)が、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」の導入を検討していることが15日、分かった。蓮田健副院長は「医療機関以外で出産する母子のリスク低減と、病院が母親に接触することで考え直してもらう機会になると期待できる」と話している。
 蓮田副院長によると、慈恵病院はドイツが2014年から実施している内密出産制度をモデルに検討している。
 母親は出産時に身元を記載した書類に封をして行政機関に預け、匿名で出産する。生まれた子どもは、実の親が育てられない場合に養父母の実子と見なす特別養子縁組で育てられることを想定している。
 行政に預けた書類は子どもが一定の年齢になるまで開封せず、子どもが将来希望すれば知ることができるようにして、出自を知る権利を担保する。
 慈恵病院は来年1月、熊本市に内密出産の導入検討を伝える方針。蓮田副院長は「内密出産で生まれた子が無戸籍になるのを防ぎ、特別養子縁組を成立させるには行政による制度整備が必要。時間はかかるが相談しながら進める」と話している。
 熊本市は「妊娠で悩む人々への支援は、一つの自治体や民間病院で解決できる課題ではない」(大西一史市長)として今年7月、国に内密出産に関する法整備の検討を要望している。 (C)時事通信社