【ニューデリー時事】ミャンマー西部ラカイン州で迫害を受けたイスラム系少数民族ロヒンギャが、隣国バングラデシュに大量脱出を始めてから4カ月超が経過した。ロヒンギャ難民の数は推計65万人超。過密で衛生状態が悪化した難民キャンプでは、「予防接種で防げる」(専門家)はずの感染症ジフテリアが子供らの間で広がり、死者も増えており、人道危機は深刻度を増している。
 バングラデシュ南東部コックスバザール周辺には約10カ所のキャンプがある。国連児童基金(ユニセフ)などによると、昨年11月中旬以降に難民キャンプ内で確認されたジフテリア感染が疑われる症例は3000件以上に達し、28人が死亡した。死者の約半数は子供だ。
 発症した子供らは、ラカイン州で予防接種を受けていなかった可能性が高い。現場で支援に当たるユニセフの日本人職員、ロビンソン麻己さん(38)は喉の腫れや発熱を引き起こすジフテリアについて、「通常、致死率は5~10%ほど。日本にいれば死亡例はあまり聞かないと思う」と指摘。他国での勤務経験がある同僚の医師も「実際の感染者はめったに見ない」と語る。
 ロヒンギャの大量流入で、キャンプの衛生施設整備などの支援が追いつかないことも、病気の流行に拍車を掛けている。「テントはあっても、その中で地面に直接座って生活せざるを得ず、トイレなどの排水がすぐそばを流れている場所もある」(ロビンソンさん)という。
 ミャンマーとバングラデシュ両政府は昨年11月、ロヒンギャの早期帰還で合意、今年1~2月には帰還事業が始まる予定だ。だが、ラカイン州では多くの家が燃やされたとされ、帰還後もロヒンギャの生活環境の改善は大きな課題となる。
 ロビンソンさんは「バングラデシュは日本から遠く、なかなか伝わらないが、問題は悪化している」と強調。支援の継続を呼び掛けている。 (C)時事通信社