体のさまざまな細胞になる能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)が、実際に分化するかどうかを決めるスイッチの役割を持つ分子を初めて発見したと、先端医療振興財団細胞療法研究開発センター(神戸市)が11日、発表した。分化しない細胞を移植すると腫瘍になる恐れがあり、事前に選別できればリスクを回避できる。論文は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。
 iPS細胞やES細胞が実際に分化するかどうかは、未分化の状態では分からなかった。
 研究グループは3種類のiPS細胞と2種類のES細胞について、分化した細胞としない細胞で発現している分子の違いに注目した。
 この分子は胎児の臓器形成に必要な「CHD7」で、分化前の発現量がおおむね800ナノグラム(ナノは10億分の1)より少ない細胞は分化しなかった。一方、おおむね2000ナノグラムより多い細胞は分化した。
 川真田伸センター長は「分化する細胞を臨床に使うことで、より安全な移植医療に大きく貢献できる」と話している。 (C)時事通信社