阪神大震災から17日で発生23年。同震災などを教訓に創設された災害派遣医療チーム(DMAT)が被災地での活動の範囲を広げている。災害現場での重傷患者の応急処置などが主な任務だったが、避難所で命を落とす災害関連死が東日本大震災で相次いだため、2016年の熊本地震では避難所での医療支援も積極的に行った。
 初期の医療体制確立の遅れから被害が拡大した阪神大震災では「避けられた災害死」が指摘され、05年に医師や看護師らでつくるDMATが発足した。災害発生から48時間以内に現場に駆け付け、治療の優先順位を付けるトリアージなどの医療支援に当たってきた。
 東日本大震災でも多くのチームが出動したが、勝手が違った。衛生環境が悪い避難所で慢性疾患が進行したり、十分な投薬が受けられなかったりして亡くなる災害関連死が後を絶たなかった。西日本のDMATの研修拠点の一つ兵庫県災害医療センターの川瀬鉄典・副センター長は「急性期以降を支える救護班への引き継ぎが課題だった」と、東日本大震災当時、仙台市などで活動した時の経験を振り返る。
 DMATは原則48時間の短期間の活動を想定していたが、熊本地震では4次隊まで追加派遣し発生から10日間、被災地で活動。被災者が脱水症状にならないよう、避難所で健康管理や診療にも当たった。
 DMATとして熊本県益城町に派遣され、救護所の調整に当たった川瀬氏は「熊本では早い段階から多くのチームが投入され医師会とも連携し、医療救護班に引き継げた」と話す。一方で、車中泊の人が多く、目が届かないところで健康が悪化するケースが目立った。
 川瀬氏は「熊本地震では、避難所を『避ける』人もいた。少しでも多くの人を救うためには、避難所の規模の拡大や避難生活の質の確保など、行政側の支援も必要だ」と話した。 (C)時事通信社