パレスチナ自治区ガザが深刻な電力危機に見舞われている。恒常的な電力不足に加え、最近ではそれを補う発電機のための燃料も不足。しわ寄せは医療機関にもおよび人命が危機にさらされつつある。
 ガザ市にある小児医療専門のナセル病院。集中治療室(ICU)で治療を受けている5人の新生児・乳児のうち1人は、別の小児病院のICUが燃料不足で閉鎖され、転院してきた。
 「幸運なことにまだ誰も亡くなっていないが、過去最悪の状態だ」。ナセル病院に勤続15年の医師ラエド・マフディさんによれば、ICUでの受け入れ人数を6人から10人に増やした。ただ、「それぞれの患者への薬の投与や酸素供給、感染予防に影響する」と指摘。「ベッド数が不足しているので、予定より数日早く退院させた患者もいる」と苦しい胸の内を明かした。
 イスラエルによる経済封鎖が続くガザではもともと電力供給が不安定だ。電力の3分の2をイスラエルからの送電に依存し、残りはガザ内の発電所による発電とエジプトからの輸入で賄っている。昨年にはパレスチナ内部の対立を受けてパレスチナ自治政府のアッバス議長がイスラエルにガザへの送電を削減するよう要請するなど、政治的な影響を受けてきた。
 現在の1日の電力供給時間は4~8時間。24時間電力が必要な病院や診療所は、停電中は発電機を稼働させている。
 しかし、ガザの保健省によれば、6日時点で、ガザ地区にある病院13カ所、診療所54カ所のうち病院3カ所と診療所16カ所が燃料不足から発電機を停止。国連人道問題調整事務所(OCHA)は6日、「緊急用燃料があと10日で底を突く」と警鐘を鳴らした。それを受けて、9日までに、アラブ首長国連邦(UAE)とカタールがそれぞれ200万ドル(約2億2000万円)と900万ドル(約9億8000万円)の支援金寄付を約束し、最悪の危機は免れたが、根本的な課題は残されたままだ。 (C)時事通信社