膵臓(すいぞう)でインスリンを作る細胞群「膵島(すいとう)」を糖尿病患者に移植する際、膵島に血管網を作り定着率を高める技術を開発したと、横浜市立大の谷口英樹主任教授や武部貴則教授らが発表した。論文は8日付の米科学誌セル・リポーツに掲載された。
 膵島のドナー(臓器提供者)は少ない上、膵臓から分離する際に酸素や栄養を供給する血管網が失われるため、移植後の定着率が低い。人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を膵島に変え、移植を目指す研究も国内外で進んでおり、将来は血管網を作る技術と組み合わせる。武部教授は「早期の実用化を目指したい」と話している。
 研究チームは人とマウスの膵島にそれぞれ、人のへその緒の血管内皮細胞と骨髄の間葉系幹細胞を合わせ、容器内で立体的に培養した。間葉系幹細胞は血管を取り巻く細胞に変わり、安定させる役割がある。
 その結果、膵島に血管網ができ、ブドウ糖(血糖)濃度が高い環境では膵島だけの場合に比べ、血糖値を下げるインスリンを多く生み出した。血管網ができたマウスの膵島を免疫不全の糖尿病マウスに移植したところ、5日目の生存率は9割以上で、膵島だけ移植した場合の4割より高かった。 (C)時事通信社