旧優生保護法下で障害者らが不妊手術を強制されるなどした問題で、同法を所管した旧厚生省の公衆衛生局長が1973年、「学問的には非常に問題」と発言していたことが5日、日本医師会(日医)の記録で分かった。
 国は「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」という同法の目的を疑問視しながら、96年に強制不妊手術の根拠条文を削除した「母体保護法」に改正されるまで20年以上、手術を容認していた可能性がある。
 73年9月、日医の「家族計画・優生保護法指導者講習会」で当時、公衆衛生局長だった加倉井駿一氏(故人)が発言した。内容は、74年7月1日付の日医機関誌「日本医師会雑誌」に掲載されている。
 この中で加倉井氏は、強制不妊手術の対象としていた「精神病」「精神薄弱」(いずれも法律上の病名)などについて「遺伝性のものか否か医学的な統一的見解がまだ確立しておらず、遺伝性かどうかという臨床的な認定は非常に困難」と指摘。対象とする具体的な疾患に関し「再検討の必要があるのではないか」との考えを示していた。
 その上で手術について「私どもの立場として、学問的には非常に問題があるところではないかと考えている」と述べていた。 (C)時事通信社