東京都目黒区で3月、父親に殴られた後に死亡した船戸結愛ちゃん(5)は、以前住んでいた香川県の児童相談所に2度、一時保護されていた。目黒区に転居した際、管轄の児相に案件は引き継がれたが、今回の悲劇は防げなかった。児童福祉の専門家からは「児相間で危険性が共有されていたのか」と疑問の声が上がる。
 東京都などによると、一家が香川県にいた頃、近隣住民から「夜、子どもが1人で外に立っている」と警察に通報があった。結愛ちゃんに聞き取りをすると、「父親にたたかれた」と話したという。
 同様の事例はその後もあり、香川県の児相は結愛ちゃんを2度にわたり一時保護し、児童福祉法に基づく指導措置を実施。しかし、けがの程度が軽く、父親の雄大容疑者(33)=保護責任者遺棄致死容疑で逮捕=と母親の優里容疑者(25)=同=が指導を受け入れたため、一家が目黒区に転居した1月に措置を解除した。
 香川県の児相から東京都の品川児相に連絡があったのは1月29日。緊急会議で案件を引き継いだ品川児相は2月9日に家庭訪問したが、結愛ちゃんに会えなかった。同月20日の小学校入学説明会でも、参加したのは優里容疑者だけ。雄大容疑者から暴行された結愛ちゃんは3月2日、自宅から心肺停止状態で搬送され、間もなく死亡した。
 悲劇は防げなかったのか。駿河台大の吉田恒雄教授(児童福祉法)は「児相が子どもに会えないことはよくある」と話し、「警察など他の機関と協力しながら次に会う機会をつくるなど、フォローしていくことが重要」と指摘。一連の児相の対応については「危険性が共有され、切迫感が伝わっていたのか」と疑問を投げ掛けた。
 厚生労働省も今回の事件に注目する。担当者は「児相の対応に問題がなかったか検証が必要」と話している。 (C)時事通信社