西日本を中心に大きな被害をもたらした豪雨災害では、多くの被災者が避難所に身を寄せている。暑さはさらに厳しさを増し、熱中症や食中毒の恐れがあるほか、避難生活の長期化による「エコノミークラス症候群」の懸念も高まっている。
 「避難所・避難生活学会」副会長で日本赤十字北海道看護大の根本昌宏教授は「熱中症予防には水分補給が重要だが、被災地では上下水道が止まったり、場所が遠くなったりするなどトイレ事情が悪化し、水分摂取を控える被災者が増える」と指摘する。暑さを自覚しにくくなる高齢者には、周囲が水分補給を促す必要があるという。
 2016年4月の熊本地震では、熊本市内の避難所で食中毒が発生し、34人におう吐などの症状が出た。市によると、外部から持ち込まれた炊き出しが原因で、「温かいものを食べてほしい」と発泡スチロールの容器で運搬されたため菌が増殖したという。市は避難所で提供される食品や調理施設の衛生管理を徹底し、再発防止を図った。
 熊本地震では、車中泊が続いたことによる「エコノミークラス症候群」で女性が死亡した。その後、保健師らが避難所の駐車場を巡回し、水分補給やストレッチを呼び掛けるチラシを配布。脚を圧迫して血流を改善し、血が固まるのを防ぐ「弾性ストッキング」を希望者に配布したという。
 同学会によると、雑魚寝の避難所でも同症候群が多く見つかっており、床に敷いた布団の上で長時間正座などの姿勢を続けることが原因とみられるとして、簡易ベッドの普及を提言している。
 大雨災害の場合、あふれ出た下水で避難所の床の衛生環境が悪化する場合もあるといい、根本教授は「床に寝てほこりを吸い込むことによる呼吸器系疾患の予防にも簡易ベッドは有効だ」と話している。 (C)時事通信社