法務省は、婚姻中に妊娠した子を夫の子と推定する民法の「嫡出推定」見直しに向け、検討に着手する。離婚した元夫の子と見なされるのを女性が嫌って子の出生を届け出ず、無戸籍者となるケースがある現状を踏まえたもので、無戸籍者を解消するのが狙い。嫡出推定見直しが実現すれば、明治の民法制定以来初めてとなる。
 上川陽子法相は17日の記者会見で「無戸籍者の解消に向けた取り組みの一環として、嫡出推定制度の見直しに向けた検討を開始する予定だ」と述べた。
 民法772条は、妻が婚姻中に妊娠した子は夫、離婚後300日以内に出産した子は元夫の子とそれぞれ推定すると規定。こうした中、離婚直後に元夫と異なる男性の子を妊娠した女性が出生届を出さないケースもある。法務省によると、6月時点の無戸籍者数は確認できている限りで701人。約75%が嫡出推定が原因とみられる。
 子が元夫以外の戸籍を得るには、元夫が出生を知ってから1年以内に嫡出否認を裁判所に訴える必要があり、元夫の協力を得る心理的な負担などから届け出をためらう人も多い。無戸籍になると、児童手当や国民健康保険が受給できない支障が生じる。
 一方、嫡出推定規定は親子関係を早く確定させる目的があるとされ、見直しには「親子関係が不安定になる」との慎重意見もある。法務省は今後、省内に研究会を設置し、見直しに伴う影響などについて慎重に検討する方針だ。
 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「欧米やアジアと比べても明治の法律を使っている国はなく、議論を始めるのは評価できる」と話している。 (C)時事通信社