京都大は30日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いたパーキンソン病での臨床試験(治験)を始めると正式に発表した。iPS細胞を神経のもとに変えて患者の脳に移植する世界初の試み。患者を募集するなどして7人を選び、年内にも1人目への移植を行う。
 今回の治験が成功すれば、大日本住友製薬(大阪市)と連携して製剤化を目指し、2022年度にも国に申請する。
 パーキンソン病は、脳内で情報を伝える物質「ドーパミン」を出す神経細胞が減り、体を動かしにくくなったり震えが起きたりする難病。
 治験では、治療薬の効き目が薄れてきたが、重症化はしていない50~69歳の患者を選ぶ。
 京大の高橋淳教授らのチームは、拒絶反応を起こしにくい特殊な免疫の型を持つ人の血液から作ったiPS細胞を用いる。これを神経のもとになる細胞に変えて患者の脳に注射すると、脳内で神経細胞になり、ドーパミンを分泌する見込みだという。
 細胞は脳の中心に近い2カ所に計約500万個を移植する。安全性を慎重に確認するため、1人目は1カ所に移植してから、半年後にもう1カ所移植する。手術後は2年間、腫瘍ができないかどうかや、症状が改善するかの効果を調べる。
 iPS細胞から作った細胞を患者に移植する計画は、14年に理化学研究所が実施した目の難病患者での臨床研究と、大阪大が心臓病で予定している臨床研究に続き、3例目となった。
 実用化が近い治験は国の基準が厳しく、今回が初めて。高橋教授は「パーキンソン病治療の有力な選択肢にしたい。保険適用を目指している」と述べた。
 チームは6月に国に計画を届け出、了承を得ていた。 (C)時事通信社