広島や長崎で被爆し北朝鮮に帰国した人のうち、この10年間に消息が判明した111人中、51人が亡くなっていたことが分かった。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などは、医療支援の充実を求める要望書を8月中に厚生労働省に提出する。
 広島県原水禁の金子哲夫代表委員(70)が7月に訪朝し、朝鮮被爆者協会から調査の中間報告を受けた。調査は3回目で、2008年時点で生存していた被爆者382人を対象に実施。18年1~5月に消息をつかめた111人のうち、生存者は60人だった。
 広島県朝鮮人被爆者協会の金鎮湖理事長(72)は「北朝鮮の医療機関の水準は日本に比べればずいぶん落ち、死亡率は日本に比べ高い」と説明。医薬品の提供や病院建設など早期の支援を求めた。
 被爆者援護法は在外被爆者にも医療費の支給を認め、医療支援も行っているが、国交がない北朝鮮に居住する被爆者への援護は事実上困難となっている。金子氏は「日本政府は、人道的な立場に立った具体的な施策を積極的に展開することが必要だ」と訴えた。
 広島市によると、原爆投下時、戦時中の労働不足を補うため強制的に連行されるなどして市内にいた朝鮮人は数万人とされる。 (C)時事通信社