政府は13日までに、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を活用して高齢者が保有する預金や有価証券などの金融資産を把握する仕組み作りを先送りする方針を固めた。2018年度末の具体策取りまとめの期限を来年度以降に延ばす。社会保障費抑制に向けた重要課題と位置付けてきたが、国民の理解や準備が進んでいないと判断した。
 介護施設に入所して食費や居住費の補助を受ける場合は、低所得要件に加えて金融資産が1人当たり1000万円以下であることを証明するよう求められる。その他の社会保障関連のサービスでは、高齢者の所得が一定額を下回れば金融資産の多寡にかかわらず、病院での窓口負担減免などの優遇を原則受けられる。
 財務省の推計によると2000万円以上の金融資産を保有する割合は40歳未満の若者世帯で5%以下にとどまるのに対し、65歳以上の夫婦では4割近くに達する。同省などは、高齢化に伴って膨張する社会保障費を抑えるため、所得が少なくても多額の貯蓄を持つ高齢者に対しては今以上の負担を求めるべきだと主張している。
 マイナンバー制度の整備が進み、当局が証券・銀行口座を容易に照会できるようになれば、高齢者の金融資産も把握しやすくなる。政府は、経済・財政再生計画の改革工程表で18年度末までに「必要な措置を講じる」と明記している。だが現時点で政府内の検討は進んでおらず、「年度末に具体策をまとめるのは難しい」(厚生労働省関係者)状況だ。年末の来年度予算案編成に合わせて新たな期限を設定する見通し。
 金融資産を把握され自己負担が増えることになる高齢者の反発は避けられない。理解が進まない中で導入を急げば、「マイナンバー不要論が高まる懸念がある」(政府関係者)。事務を担う金融界との調整も進んでいない上、来年夏に参院選を控える中で世論を刺激したくないという政治判断も働いたとみられる。 (C)時事通信社