【ワシントン時事】米国で薬物中毒による2017年の死者が前年比で10%近く増加し、過去最悪の約7万2000人に上ったことが、疾病対策センター(CDC)の暫定集計で明らかになった。うち3分の2が医療用麻薬オピオイドによるもので、薬物問題の深刻さを浮き彫りにした。
 米国の薬物中毒による死者は、銃器や交通事故による死者を上回っている。死因を特定できていないケースもあるため、最終的な死者数はさらに増える可能性がある。
 米ブラウン大公衆衛生学部のマーシャル准教授はニューヨーク・タイムズ紙に、オピオイド使用者の数は増加しているものの、劇的というほどではないと指摘。「(中毒死急増の)主な背景は、薬物の流通に見られる変化だ」と分析する。
 米国では近年、合法な鎮痛剤などとして用いられる「フェンタニル」など合成オピオイドの需要が急増。一方で、非合法のフェンタニルが闇市場に流入し、事態を悪化させているとみられる。
 トランプ大統領は昨年10月、オピオイド問題を受けて「公衆衛生に関する非常事態」を宣言し、対策に本腰を入れ始めた。だが、カリフォルニア大のシカローン教授は同紙に「薬物依存症の患者は世間体を気にして治療に後ろ向きなケースも多く、ジカ熱など伝染病と比べ(対策への)反応が鈍い」と、悲観的な見方を示している。 (C)時事通信社