【ブリュッセル時事】安倍政権が2020年の東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として夏時間導入の検討を始めた。海外では日照時間の有効活用などを理由に70カ国以上が実施している夏時間だが、「本家」の欧州や米国では効果の不透明さや健康被害への懸念から逆に廃止や見直しを検討する動きが広がっている。
 欧州連合(EU)の欧州議会は今年2月、現行制度について「多くの研究が明確な効果を裏付ける代わりに、健康への悪影響を指摘している」として執行機関の欧州委員会に対し、存続の是非を徹底的に評価し、必要なら見直しを検討するよう求める決議を採択した。欧州委はこれを受けて今月16日までの約1カ月間、市民からの意見聴取を実施。寄せられた約460万件の意見を踏まえて今後、存廃を判断する方針だ。
 EUは現在、3月の最終日曜日に時計を1時間進め、10月の最終日曜日に元に戻す制度の実施を加盟28カ国に義務付けている。欧州各国で夏時間が導入され始めたのは第1次世界大戦当時で、燃料節約が目的だった。多くはその後中止されたが、1970~80年代に省エネや余暇時間拡大を主眼に本格実施されるようになり、EUでの制度統一が図られた。
 ただ、時間変更に伴う体調管理の難しさや心臓発作など健康リスクへの懸念から欧州内では近年、見直しを求める声が徐々に強まっている。特に夏の日照時間が非常に長く実施効果が薄いフィンランドでは制度廃止の請願に7万人超の署名が集まり、同国は1月にEUに廃止を要請。欧州議会の決議につながった。また、リトアニアも制度廃止でEUとの協議入りを決めたほか、オランダにも廃止の署名を募る動きが出ている。
 一方、一部の州を除き3~11月に夏時間を実施している米国でも見直しの機運が出ている。フロリダ州は今年7月、連邦法改正を前提に夏時間を通年化する法律を施行。カリフォルニア州も健康問題などを理由に11月に通年化の是非を住民投票で問うことを決めた。 (C)時事通信社